第13回:場面指導・生徒指導の実践的対応法 【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
- 河野正夫
- 2025年10月9日
- 読了時間: 9分
第13回:場面指導・生徒指導の実践的対応法
【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
# 第13回:場面指導・生徒指導の実践的対応法
## はじめに
教員採用試験の面接では、具体的な教育場面を想定した「場面指導」が出題されます。
「いじめを発見した時、どう対応しますか」「保護者から苦情の電話があった時、どうしますか」といった質問に、適切に答えることが求められます。
場面指導は、知識だけでなく、実践的な判断力と対応力が試される試験です。
講師として現場経験がある方も、学生の方も、適切な対応の基本原則を理解しておく必要があります。
この記事では、生徒指導理論と実践知をもとに、場面指導で評価される対応法を分かりやすく解説します。

## 場面指導で評価されるポイント
面接官は、場面指導で何を見ているのでしょうか。
**冷静な判断力**
緊急時や困難な場面でも、感情的にならず冷静に状況を判断できるかが評価されます。
**子ども理解の深さ**
問題行動の背景にある子どもの気持ちや状況を理解しようとする姿勢があるかが重要です。
**組織的対応の意識**
一人で抱え込まず、管理職や他の教員と連携して対応する意識があるかが見られます。
**具体性のある対応**
抽象的な回答ではなく、「まず○○をして、次に△△をする」という具体的な行動を示せるかが評価されます。
## 生徒指導の基本原則
すべての場面指導に共通する基本原則があります。
**原則1:まず事実確認を丁寧に行う**
憶測や思い込みで判断せず、何が起きたのかを正確に把握します。
子ども本人、周囲の子ども、目撃者などから、丁寧に話を聞きます。
**原則2:子どもの話を最後まで聞く**
問題行動を起こした子どもであっても、まずその子の言い分を最後まで聞きます。
頭ごなしに叱責するのではなく、背景にある事情を理解しようとします。
**原則3:一人で判断しない**
どんな場面でも、必ず管理職(校長・教頭)に報告・相談します。
重大な案件は、一人で判断せず、組織として対応します。
**原則4:記録を残す**
いつ、どこで、誰が、何を、どうしたのかを記録に残します。後の対応や保護者への説明のために、正確な記録が必要です。
**原則5:保護者と連携する**
学校だけで解決しようとせず、保護者と情報を共有し、協力して対応します。
**原則6:関係機関と連携する**
必要に応じて、教育委員会、児童相談所、警察、医療機関などの専門機関と連携します。
## いじめへの対応
場面指導で最も頻出するテーマが、いじめへの対応です。
**いじめの定義を理解する**
いじめ防止対策推進法では、「児童等が心身の苦痛を感じているもの」(定義の一部)をいじめと定義しています。
被害者の立場に立った定義であることが重要です。
**発見時の初動対応**
いじめを発見した、または相談を受けた場合の対応手順です。
対応手順(1分以内で説明):
「まず、被害を受けている子どもの安全を最優先に確保します。その子から丁寧に話を聞き、『よく話してくれた』と受け止めます。すぐに管理職に報告し、学年主任や生徒指導主事と情報を共有します。加害側とされる子どもからも事実確認を行い、組織的に対応方針を決めます。保護者にも速やかに連絡し、学校としての対応を説明します。」
**重要なポイント**
- 被害者の保護を最優先
- 「絶対に守る」というメッセージを伝える
- 一人で抱え込まない
- 迅速に組織で動く
- 継続的な見守りが必要
**加害側への指導**
加害側への指導も、一方的な叱責ではなく、教育的配慮が必要です。
なぜそのような行動をしたのか背景を理解し、行為がどれだけ相手を傷つけたかを気づかせます。
## 不登校への対応
不登校は、近年増加している重要な課題です。
**不登校への基本姿勢**
「学校に来させること」を目標にするのではなく、子どもの状況を理解し、適切な支援を考えることが重要です。
**担任としての対応**
「クラスに不登校の子どもがいます。あなたはどう対応しますか」という質問への答え方です。
対応例(1分以内):
「まず、その子や保護者と連絡を取り、学校に来られない理由や本人の気持ちを丁寧に聞きます。無理に登校を促すのではなく、『いつでも待っている』というメッセージを伝えます。管理職やスクールカウンセラーと連携し、その子に合った支援方法を考えます。家庭訪問や電話連絡を続け、関係を切らないようにします。教育支援センターやフリースクールなど、多様な学びの場についても情報提供します。」
**重要なポイント**
- 原因は一人ひとり異なる
- 焦らせない、責めない
- 継続的な関わりを持つ
- 多様な学びの場を認める
- 専門機関と連携する
## 授業中の問題行動への対応
授業中に子どもが騒ぐ、立ち歩くなどの問題行動への対応も問われます。
**その場での対応**
授業の流れを止めすぎず、かつ適切に対応する必要があります。
対応例(1分以内):
「まず、その子に静かに近づき、個別に声をかけます。『どうしたの?』と理由を聞き、状況を把握します。他の子どもの学習を妨げないよう配慮しながら、授業を続けます。授業後、その子と個別に話す時間を取り、なぜそのような行動をしたのか、何か困っていることはないかを聞きます。学年の先生や管理職と情報共有し、継続的な支援を考えます。」
**講師経験者の場合**
実際の経験をもとに語ることができます。
経験に基づく回答例:
「講師として授業をしている時、集中できない子どもがいました。叱るのではなく、その子の近くで授業を進めたり、簡単な質問を振ったりして、授業に参加できるよう工夫しました。休み時間に話を聞くと、家庭で悩みがあることが分かりました。担任の先生と相談し、スクールカウンセラーにつなぎました。」
## 保護者対応
保護者からの苦情や相談への対応も重要なテーマです。
**苦情への基本対応**
感情的な苦情であっても、冷静に対応することが求められます。
対応例(1分以内):
「まず、保護者の話を最後まで丁寧に聞きます。途中で言い訳をせず、『ご心配をおかけして申し訳ありません』と受け止めます。事実確認が必要な場合は、『確認して後ほど連絡します』とお伝えします。一人で判断せず、必ず管理職に報告し、学校として対応します。保護者と対立するのではなく、子どものために協力する姿勢を示します。」
**重要なポイント**
- 傾聴の姿勢
- 即答しない(確認してから返答)
- 一人で対応しない
- 記録を残す
- 組織として対応する
**理不尽な要求への対応**
明らかに理不尽な要求であっても、感情的にならず、組織的に対応します。
「私一人では判断できませんので、学校として検討させていただきます」と伝え、管理職に報告します。
## けんかの仲裁
子ども同士のけんかへの対応も問われます。
**基本的な対応手順**
けんかの仲裁では、双方の言い分を公平に聞くことが重要です。
対応例(1分以内):
「まず、けがをしていないか確認し、必要なら保健室に連れて行きます。その後、双方を別々に落ち着かせ、何があったのかを一人ずつ聞きます。どちらが悪いと決めつけず、お互いの気持ちを理解させます。二人を一緒にして、お互いに話し合う機会を作ります。けんかに至った原因を一緒に考え、今後どうすればいいか約束します。必要に応じて保護者にも連絡します。」
**重要なポイント**
- 安全確保が最優先
- 双方の言い分を公平に聞く
- 一方的に決めつけない
- 関係修復を目指す
## 特別な配慮が必要な子どもへの対応
発達障害や特別な支援が必要な子どもへの対応も出題されます。
**基本的な姿勢**
「気になる子どもがクラスにいます。どう対応しますか」という質問への答え方です。
対応例(1分以内):
「まず、その子をよく観察し、どんな時に困っているのか、何が得意で何が苦手なのかを把握します。特別支援教育コーディネーターや管理職に相談し、専門的な視点からアドバイスをもらいます。保護者とも連携し、家庭での様子や配慮事項を共有します。教室環境を工夫したり、指示の出し方を変えたりして、その子が安心して学べるよう支援します。必要に応じて、個別の指導計画を作成します。」
**合理的配慮の視点**
一人の子どもへの配慮が、すべての子どもにとって分かりやすい環境につながるという、ユニバーサルデザインの視点も重要です。
## 回答を準備する際の注意点
場面指導の回答を準備する際、以下の点に注意しましょう。
**マニュアル的な回答を避ける**
「生徒指導提要に書いてある通りに対応します」だけでは、具体性がありません。自分の言葉で、具体的な行動を示します。
**完璧な解決を目指さない**
「すべて解決します」という回答は現実的ではありません。
「継続的に関わり、少しずつ改善を目指します」という姿勢が誠実です。
**子どもの立場を忘れない**
問題行動への対応であっても、常に子どもの最善の利益を考える姿勢が大切です。
**学生らしさ、講師らしさを活かす**
学生であれば「まだ経験不足ですが、先輩教員に相談しながら」と正直に言えます。講師であれば「以前こういう経験をした時、○○という対応をしました」と具体的に語れます。
## 典型的な場面への準備
以下の場面は特に頻出なので、必ず準備しておきましょう。
**準備すべき場面**
1. いじめを発見した時
2. 不登校の子どもへの対応
3. 授業中の問題行動
4. 保護者からの苦情
5. けんかの仲裁
6. 子どもからの相談(友人関係、家庭の悩みなど)
7. 特別な配慮が必要な子どもへの対応
8. 危険な行動(暴力、器物破損など)への対応
それぞれの場面について、1分以内で具体的に答えられるよう準備します。
## 演習方法
場面指導の対応力は、演習で向上します。
**一人での演習**
想定される質問に対して、声に出して答える練習をします。
タイマーで1分(実際の回答時間によって適宜調整)を測り、時間内に答える訓練をします。
**録音・録画での確認**
自分の回答を録音・録画して確認します。
言葉の選び方、話す速度、具体性などをチェックします。
**優れた指導者からのフィードバック**
可能であれば、優れた指導者に、回答を聞いてもらい、フィードバックをもらいます。
素人の意見ではなく、実際に生徒指導を経験した専門家の視点が重要です。
## まとめ
場面指導・生徒指導の実践的対応法には、冷静な判断力、子ども理解、組織的対応の意識、具体的な行動という4つの要素が重要です。
すべての場面に共通する基本原則は、丁寧な事実確認、子どもの話を聞く姿勢、一人で判断しない組織対応、記録、保護者・関係機関との連携です。
重要なのは、完璧な答えを用意することではなく、子どもの立場に立って考え、誠実に対応しようとする姿勢を示すことです。
経験不足であっても、基本原則を理解し、学び続ける意欲を示せば、必ず評価されます。
次回は、集団討論・グループワークの攻略法について解説します。
他の受験者とともに一つのテーマについて議論する試験での、効果的な参加方法を学んでいきましょう。
河野正夫



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