第13回:<大学生のための面接無料講座>「あなたの強み・弱み」、自己分析の“ズレ”をどう防ぐか?
- 河野正夫
- 2025年6月18日
- 読了時間: 5分
第13回:「あなたの強み・弱み」、自己分析の“ズレ”をどう防ぐか?
説得力ある自己理解は、どう構築され、どう語られるのか?
はじめに
自己PR」だけで評価される時代ではない
教員採用試験の面接において、「あなたの強みは何ですか?」「自分の課題や弱みは?」という問いは、必ずと言っていいほど登場します。
形式は「自己PR」「あなたの長所・短所」「自分を一言で表すと?」など多岐にわたりますが、本質的に問われているのは、自己認識の正確さと教育職への適応可能性です。
面接官は「いいところをアピールしてほしい」と思っているのではなく、“自分をどう理解しているか”“その理解が現場にどう活かされるか”を見極めようとしています。
そのため、自分にとっては“強み”と思っていたことが、面接官にとっては“ずれている”と評価されることもあります。
本稿では、自己PRにおける「ズレ」を防ぎ、評価される語りを構築するための自己分析手法と、語りの構造戦略を紹介します。

1.面接官が見る「強み・弱み」の評価ポイント
教員採用試験において、受験者の強み・弱みは「対子ども」「対保護者」「対同僚」という教育実践の文脈で評価されます。
以下の3点が特に重視されます。
(1)教育現場で活かせるか
→ 一般的な強みではなく、教職において有効かどうかが問われます。
例:体力・責任感・共感力・計画性・柔軟性・観察力 など
(2)言葉と行動が一致しているか
→ 「粘り強い」と言っているが、語るエピソードに粘り強さが感じられない場合は評価が下がります。
(3)弱みに対する対処意識があるか
→ 「そのままでは現場で支障が出そうだが、改善しようとしている」と思わせる語り方が評価されます。
2.評価されない語り方の典型例とそのズレ
【例①】強みが抽象的すぎる
「明るい性格です」「優しいところです」
→ 教育場面でどう機能するのかが伝わらず、評価につながりません。
改善法:「子どもが不安を感じているときにも笑顔で寄り添える」「学級全体の雰囲気づくりに貢献できる」など具体化する。
【例②】強みとエピソードが一致しない
「私は計画性があります」→「前日になって焦って準備しましたが、何とか間に合いました」
→ 結果が良くても、行動の中身が強みを裏切っていては逆効果です。
改善法:エピソードの中に“計画性”を示すプロセス(計画→実行→振り返り)を組み込む。
【例③】弱みを“隠れた強み”にすり替える
「完璧主義なところが弱みですが、だからこそ丁寧に仕事ができます」
→ “実質的に強みだけをアピールしている”と見られ、不誠実な印象になることも。
改善法:完璧主義によって支障が出た具体例と、それにどう向き合ってきたかを正直に語る。
3.“ズレ”を防ぐ自己分析の3ステップ
自己理解の精度を高めるには、以下の3ステップで「事実に基づいた特性の抽出」と「教育職との接続」を意識した自己分析が必要です。
【STEP1】自分が行った行動を書き出す
例:友人の相談によく乗っていた
例:アルバイトで新人指導を任された
例:学習支援で子どもの興味を引き出す工夫をした
【STEP2】その行動の背後にある特性を抽出する
相談に乗る → 傾聴力、共感力、対人理解力
指導を任される → 信頼性、説明力、観察力
興味を引き出す → 発想力、構成力、柔軟性
【STEP3】教職場面での活用シーンを想定する
傾聴力 → 保護者面談、トラブル対応での冷静な対応
発想力 → 学級活動や授業づくりにおける創意工夫
説明力 → 授業だけでなく、子どもの納得感を高める場面
このように、行動→特性→適用可能場面の順に整理することで、面接でブレない語りが可能になります。
4.語りの構造:PREP+エピソード対比型
面接での「強み・弱み」の語りには、PREP法に以下の工夫を加えると説得力が格段に上がります。
【PREPフレーム】
P(Point):
私の強みは○○です
R(Reason):
△△のような経験を通して、この力が培われたからです
E(Example):
たとえば□□の活動では~という行動をとり、~の成果を得ました。
P(再提示):
この力は、教職において~の場面で活かせると考えています
【弱みの対比補完構成】
課題の認識:
「一方で、私は○○という課題も自覚しています」
具体場面:
「たとえば~の場面で、~という反省がありました」
改善の試み:
「現在は△△という工夫を取り入れて、少しずつ改善を図っています」
前向きな締め:
「自分の特性と向き合い、よりよい教師像に近づけるよう努力していきます」
5.実践モデル:
強み・弱みの模範回答
質問:「あなたの強みと弱みを教えてください」
私の強みは「粘り強く継続できること」です。
大学1年から続けている学習支援ボランティアでは、学習意欲の低い子どもに対し、毎週の接触を絶やさず、少しずつ信頼関係を築きながら支援を続けてきました。その子が「先生に教えてもらうのが一番わかりやすい」と言ってくれたとき、自分の継続力が教育にも通用すると実感しました。
この姿勢は、教員として子どもの学習や生活の支援を“途中で諦めない”という形で活かしていきたいと考えています。
一方で、私の弱みは「一人で抱え込みすぎる傾向があること」です。問題が起きた際、自分の責任だと感じすぎて周囲に相談できなかった経験があります。
最近では、まずは学年の先生に相談し、複数の視点で対応方針を考えることの大切さを学びました。今後も、自分の課題と向き合いながら、協働性を高めていきたいと考えています。
おわりに
「等身大の自己理解」こそ、最大の信頼資産
強みとは、背伸びをしてつくるものではありません。
弱みとは、隠すべき恥ではありません。
面接官が評価するのは、「自分をどう理解し、どう活かそうとしているか」「課題とどう向き合っているか」という姿勢そのものです。
“ズレ”を防ぐために必要なのは、誇張ではなく誠実な内省と具体的な経験。そしてそれを、構造的に言語化し、教育職への適用として示す力です。
教員は、常に自己の在り方を問い、調整し、他者と連携しながら成長する職業です。
強みも弱みも、あなたがその資質を持つ“教師になるにふさわしい人材”であることの証明材料です。
次回予告
第14回:「チームとしての学校」、“個の力”と“組織の一員”としての両立
現場で求められるのは「一匹狼」でも「従属者」でもない。
“協働する専門職”としての姿勢を、面接でどう語るかを解説します。
河野正夫



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