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第13回 論理的に話す力:PREP法と面接回答の構造化

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 13 時間前
  • 読了時間: 6分

第13回 論理的に話す力:PREP法と面接回答の構造化



<教員採用試験 面接合格講座(連載全30回)>



1.はじめに



教員採用試験の面接では、内容そのものと同じくらい話し方の構造が重要視されます。


いくら素晴らしい教育観や経験を持っていても、それをわかりやすく伝えられなければ面接官の心には響きません。


特に、教育現場は多職種が連携して課題に取り組む場であり、教員には「自分の考えを簡潔に、筋道立てて説明する力」が不可欠です。


本稿では、論理的に話す力を鍛えるための基本技術としてPREP法を中心に解説し、面接回答を構造化する具体的な方法を示します。



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2.論理的に話す力が求められる理由



(1)教育現場でのコミュニケーション


教員は日々、子ども、保護者、同僚、地域住民とコミュニケーションを取ります。


複雑な教育課題に対応するためには、相手に誤解なく伝わる説明が求められます。


論理性を欠いた説明は、信頼関係を損ない、トラブルの原因にもなりかねません。



(2)面接官の評価視点


面接では、受験者が「授業での説明力」「保護者対応の言語力」を持っているかどうかが厳しく評価されます。


内容が優れていても話がまとまらない場合、「現場で子どもに指導する力が不十分ではないか」という印象を与えます。



(3)公平性と説得力の担保


論理的な話し方は、感情に流されず、公平な判断を行っているという印象を生みます。


特に教育現場では、説明の一貫性が保護者や地域からの信頼につながります。



3.PREP法とは何か



(1)PREP法の概要



PREP法とは、


Point(結論)→Reason(理由)→Example/Episode(具体例)→Point(結論の再提示)


の順で話を構成する技法です。


シンプルで覚えやすく、面接回答を論理的かつ簡潔にまとめるために有効です。



(2)PREP法が面接に適している理由


面接官は限られた時間で多くの受験者の回答を聞きます。


そのため、冗長な説明よりも、結論が明確で筋道立った話し方を高く評価します。


PREP法を使うことで、短時間でもわかりやすく印象的な回答が可能になります。



(3)基本構造の例


例:


志望動機をPREP法で答える場合



P(結論):


「私は〇〇市で子ども一人ひとりの可能性を伸ばす教育を行いたいと考えています。」



R(理由):


「(なぜなら)、講師経験を通じて、支援を必要とする子どもが安心して学べる環境づくりの重要性を痛感したからです。」



E(具体例):



「実際に、不登校傾向の児童をチームで支援し、週に数回登校できるようになった経験があります。」



P(結論の再提示):


「この経験を活かし、〇〇県で子どもたちの成長を支える教師を目指します。」




4.PREP法を活用するメリット



(1)聞き手にとって理解しやすい


結論を最初に示すことで、面接官は話の方向性を把握できます。


その後に理由と具体例が続くため、納得感が高まります。



(2)回答が簡潔にまとまる


面接時間は限られているため、回答が長くなりすぎると印象がぼやけます。


PREP法を使うと、自然と重要なポイントに絞られ、簡潔な回答になります。



(3)深掘り質問に強くなる


面接官が追加の質問をしても、結論・理由・具体例が明確であれば、その部分を補足するだけで対応できます。


これは臨機応変な回答力を高めることにもつながります。



5.PREP法の実践例



(1)強みを語る場合



P:「私の強みは、子ども一人ひとりを丁寧に観察できることです。」



R:「(なぜなら)、日々の小さな変化に気づくことが、早期支援につながると考えているからです。」



E:「実際に、講師時代に不登校傾向の生徒が登校を渋る様子を察知し、早めに保護者と連絡を取り、支援チームを作ったことで安心して登校できるようになりました。」



P:「このように、子どもに寄り添う姿勢を生かして、教員として成長していきたいです。」



(2)教育課題に関する質問



「いじめへの対応」を問われた場合



P:「いじめは早期発見と初期対応が何より重要だと考えます。」



R:「(なぜなら)、小さなサインを見逃すと深刻化し、子どもの安全が脅かされるからです。」



E:「これまで、児童の表情や行動を観察し、少しでも気になる様子があれば管理職やスクールカウンセラーと情報共有することを実践してきました。」



P:「今後もチームで連携しながら、子どもが安心して過ごせる学級づくりを目指していきます。」



(3)自己PRに活用する場合



P:「私の強みは、協調性を活かして組織を支えることです。」



R:「講師経験を通して、学校はチームで子どもを支える場だと実感しました。」



E:「学年会議で意見が対立した際に、双方の立場を整理して合意形成を図り、スムーズに行事を進めることができました。」



P:「この経験を生かして、教員として学校組織に貢献していきたいです。」



6.PREP法活用上の留意点



(1)形式にこだわりすぎない


PREP法は便利ですが、機械的に当てはめすぎると不自然になります。


状況に応じて順番を柔軟に調整することも必要です。



(2)抽象と具体のバランスを取る


理由や具体例が抽象的すぎると説得力が弱まります。逆に細かすぎると時間が足りません。


面接時間を意識し、1分以内で簡潔にまとめることを目標にしましょう。



(3)教育観との一貫性


PREP法で論理的に答える際も、教育観や志望動機と矛盾がないように注意する必要があります。


例えば「子ども主体の学び」を掲げているのに、具体例で教師主導の指導ばかり語ると一貫性を欠きます。



7.PREP法を超えた発展的活用



PREP法は面接回答の基本型ですが、より高度な表現を目指す場合は、以下の発展形を検討できます。



(1)PEP法(結論→具体例→結論)


短い時間で答える場合は、理由を省き「結論→具体例→結論」で構成すると簡潔になります。


集団討論などで有効です。



(2)PREE法(結論→理由→具体例→効果)


「その行動がどのような効果をもたらしたか」を最後に付け加える方法です。授業改善や成果報告を語るときに適しています。



(3)PREP+STAR法


STAR法(状況→課題→行動→結果)と組み合わせると、面接回答がより深みを増します。


PREPで全体の構造を示し、具体例部分をSTARで展開する形が効果的です。



8.まとめ



論理的に話す力は、教員採用試験において必須のスキルです。PREP法を活用することで、次のような効果が得られます。



☆結論が明確になり、面接官にわかりやすく伝わる。


☆短時間で回答を整理できる。


☆深掘り質問にも柔軟に対応できる。



PREP法は単なるテクニックではなく、教育現場での説明力や説得力を支える基盤です。


面接練習を通じて繰り返し活用し、自然な表現にまで高めていくことが合格への近道となります。



次回予告


第14回は「印象を高める話し方―声・間・スピードの調整法」です。


面接では内容だけでなく、声や話すテンポといった非言語的要素も評価に大きく影響します。


次回は、受験者の印象を高めるための話し方の技術を解説します。




河野正夫



 
 
 

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