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第12回:面接票・面接シートの書き方——深掘りに耐える内容にする。【教採ブログ連載】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 4 時間前
  • 読了時間: 7分

【教採ブログ連載】


第12回:面接票・面接シートの書き方——深掘りに耐える内容にする





★面接票は「面接の設計図」である



2次試験の出願にあたって、ほとんどの自治体で面接票・面接シートの提出が求められます。


この書類を、「とりあえず提出しなければならない書類」として捉えている受験者は少なくありません。


しかし、面接票は、面接本番の質問内容を決める設計図です。


面接官は、受験者が提出した面接票の記述をもとに質問を組み立てます。


「志望動機」


「目指す教師像」


「これまでの経験」


「自己PR」


といった項目への記述が、面接で何を問われるかを直接決めます。


つまり、面接票を丁寧に書くことは、面接本番の準備そのものです。


面接票の記述が薄ければ、面接官は深掘りの材料を見つけられず、表面的なやり取りで終わります。


面接票の記述が具体的であれば、面接官はそこを起点に深い質問を重ねてきます。


深掘りに耐えられる内容で書くことが、面接票作成の唯一の目標です。



★深掘りとは何か



面接票を書くにあたって、「深掘りに耐える」とはどういうことかを正確に理解しておく必要があります。


深掘りとは、記述した内容に対して、面接官が


「なぜそう思うのか」


「具体的にはどのような場面でそれを感じたのか」


「実際にどう実践するのか」


という形で、根拠と具体性を問い続けることです。



たとえば、面接票に「子どもに寄り添える教師を目指しています」と書いたとします。


面接官は必ず問います。



「寄り添うとは、具体的にどういうことですか」


「そう思うようになったのは、どのような経験からですか」


「実際に教師になったとき、どのような場面でそれを実践しますか」



この3つの問いに、自分の言葉で答えられるかどうかが、深掘りに耐えられるかどうかの基準です。



面接票を書く際には、自分が書いた一文一文に対して、この3つの問いを自分自身に投げかけてみてください。


答えられない記述は、面接本番で詰まる原因になります。


答えられる記述だけを、面接票に残してください。



★面接票でよく見られる「薄い記述」のパターン



深掘りに耐えられない記述には、共通するパターンがあります。



1つ目は、抽象的な理念だけを書いているパターンです。


「子どもたちの未来のために全力を尽くします」


「信頼される教師を目指します」


という記述は、どの受験者でも書ける内容であり、その受験者固有の経験や考えが見えません。


面接官にとって、深掘りの手がかりが何もない記述です。



2つ目は、経験の「事実」だけを書いているパターンです。


「学生時代にボランティアで小学生の学習支援をしていました」


という記述は、事実として正確かもしれませんが、そこから何を学び、教師としての実践にどうつなげるかが見えません。


経験の事実だけでは、面接官が知りたい「その人の考え方」が伝わりません。



3つ目は、自治体の求める教師像をそのまま写しているパターンです。


自治体が掲げる「求める教師像」の言葉をそのまま使って記述すると、自分の言葉で考えた形跡が見えず、表面的な印象を与えます。


自治体の言葉を参照しながらも、自分の経験と結びついた自分の言葉で書くことが必要です。



★深掘りに耐える記述の構造



深掘りに耐える記述には、共通する構造があります。



「主張」「根拠」「具体」の3つがそろっていることです。



「主張」とは、自分が伝えたいことの核心です。


「根拠」とは、なぜそう考えるのかを支える経験や思考です。


「具体」とは、実際にどのような場面でどのように行動するかという、目に見える行動のイメージです。



たとえば、「子どもの変化に気づける教師を目指しています」という主張だけでは薄い記述です。


「学生時代に特別支援学校でのボランティアを通じて、言葉にできない困り感を抱えた子どもが多くいることを知りました」という根拠を加えます。


「毎日の短い会話の中で表情や言葉のトーンの変化を観察し、気になる子どもには放課後に個別に声をかける習慣を持ちたいと考えています」という具体を加えます。


この3つがそろって初めて、面接官が深掘りできる記述になります。


面接票の各項目を書く際には、「主張・根拠・具体」の3つがそろっているかを確認してください。



★志望動機の書き方



志望動機は、面接票の中で最も重要な項目の一つであり、最も深掘りされる項目です。



「なぜ教師を志望するのか」


「なぜこの自治体を志望するのか」


という2つの問いに答える内容が求められます。



「なぜ教師を志望するのか」については、自分の経験の中から、教師という職業を目指す決定的な契機になった出来事や気づきを探してください。


「子どもが好きだから」


「人の役に立ちたいから」


という記述は、教師でなくても成り立つ理由です。


「教師でなければできないこと」という視点で、自分の志望動機を掘り下げてください。



「なぜこの自治体を志望するのか」については、受験する自治体の教育方針・重点施策・求める教師像を調べたうえで、自分の教育観と結びついた理由を書いてください。


「地元だから」


「縁があるから」


という記述だけでは、深掘りに耐えられません。


自治体の教育への取り組みのどの部分に貢献したいのか、自分の言葉で書いてください。



★目指す教師像の書き方



「目指す教師像」は、志望動機と並んで深掘りされやすい項目です。


ここでも、抽象的な理念だけを書くことを避けてください。



「目指す教師像」を書く際の手順は、以下のとおりです。



まず、自分が目指す教師像を一言で表現します。


次に、なぜその教師像を目指すようになったかの経験や思考を書きます。


最後に、その教師像を実現するために、実際にどのような行動をとるかを書きます。



この手順で書くことで、「主張・根拠・具体」の3つがそろった記述になります。


また、目指す教師像は、志望動機と一貫していることが重要です。


志望動機で述べた経験や考えが、目指す教師像の根拠として機能していると、面接全体の論旨に一貫性が生まれます。


面接票の各項目は、バラバラに書くのではなく、全体として一つの一貫したストーリーになるように設計してください。



★経験・自己PRの書き方



「これまでの経験」「自己PR」といった項目では、経験の事実を羅列するのではなく、その経験から何を学び、教師としての実践にどうつなげるかを書くことが重要です。


経験を書く際の構造は、


「経験の事実」


「そこから得た気づきや学び」


「教師としての実践への接続」


の3段階です。



「学生時代に部活動のキャプテンを務めました」という事実だけでは不十分です。


「チームの方向性について意見が割れた経験から、一人ひとりの考えを丁寧に聞いたうえで合意を形成することの重要性を学びました」という気づきを加えます。


「この経験を、学級経営における子どもたちとの合意形成の場面で活かしたいと考えています」という接続を加えます。


この3段階がそろうことで、経験が面接票の記述として機能します。


経験の規模や華やかさは問われていません。


その経験から何を考え、教師としての実践にどうつなげるかという思考の深さが、評価の対象です。



★書いたあとに行う「深掘りシミュレーション」



面接票の記述が一通りできたら、必ず深掘りシミュレーションを行ってください。


方法は、自分が書いた記述を一文ずつ読み、


「なぜそう思うのか」


「具体的にはどのような場面か」


「実際にどう実践するのか」


という3つの問いを自分自身に投げかけることです。


すべての問いにすぐに答えられる記述は、面接本番でも深掘りに耐えられます。


答えに詰まる記述は、書き直しが必要です。


可能であれば、信頼できる指導者や仲間に面接票を読んでもらい、深掘りの質問を実際に投げかけてもらうことが、最も効果的なシミュレーションになります。


第三者の目を通すことで、自分では気づかなかった記述の曖昧さや論理の飛躍が見えてきます。



★最後に——面接票は、面接本番の土台である



面接票の記述の質が、面接本番の質を決めます。


丁寧に書かれた面接票は、面接官との深いやり取りを生み出し、受験者の教育観と経験を伝える場を作ります。


急いで書いた薄い記述は、面接を表面的なやり取りで終わらせ、受験者の本当の力が伝わらない結果を生みます。


合格発表当日から着手し、「主張・根拠・具体」の3つがそろった記述を丁寧に作り上げてください。


面接票は、面接本番の土台です。


その土台を丁寧に作ることが、2次試験合格への確かな一歩になります。




河野正夫




 
 
 

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