第12回:実録・面接再現回答から学ぶ高得点の共通点。『養護教諭のための無料講座』
- 河野正夫
- 2025年6月18日
- 読了時間: 4分
『養護教諭のための無料講座』【全20回連載】
第12回:実録・面接再現回答から学ぶ高得点の共通点
模範回答の分析と自分の表現への落とし込み
表面的な模倣に陥らないための工夫
はじめに
「模範回答」に潜む落とし穴
教員採用試験において、模擬面接や練習教材に登場する「模範回答」は、学習者にとって大きな参考材料となります。
しかし、こうした回答をそのまま記憶し、再現することは、面接官にとって極めて“浅い印象”を残しやすい行為です。
というのも、回答の“言葉”よりも“背景にある構造”こそが評価対象であり、語られる内容に「その人の思考と経験の跡」がなければ、評価にはつながらないからです。
本講では、高得点を取った実際の面接回答の共通点を分析しながら、「どのように参考にし、どのように自分の語りに落とし込むか」という技術について、戦略的に整理していきます。

実録から読み解く「高得点の構造」とは
ケース①:「志望理由」の再現回答
「私は大学で保健学を学ぶ中で、子どもの心と体のつながりに強い関心を抱くようになりました。特に保健室が“身体のケアだけでなく心の拠り所になる場”であることを知り、学校現場で子どもを支える仕事に魅力を感じ、養護教諭を志望しました。」
この回答は一見よくある志望理由のように見えますが、評価の分かれ目は「語っている内容が“自己の実感に基づいているか”」です。
たとえば、この発言に以下のような“補助文脈”が続く場合、評価は大きく変わります。
「中学生の頃、私自身が何度も保健室を訪れていたことがあり、その空間が自分を“責めない場所”だったことを今も覚えています。」
このように事実→実感→意義づけという流れがあることで、回答が“定型句”から“人格的語り”へと深化します。
高得点の再現回答には、このような「具体から抽象へのスムーズな遷移」が共通しています。
模倣ではなく“換骨奪胎”を
面接対策では「良い語りの型」を真似ることは決して否定されるものではありません。
しかし、「語り口」や「言い回し」の模倣にとどまると、表現に血が通わなくなる危険性があります。
そこで必要なのが、「自分自身の経験や価値観に、模範構造を“移植”する」という発想です。
模範回答の「転写プロセス」
1. 模範回答を文節ごとに区切り、要素を抽出する
→ 「大学で保健学を学ぶ中で」→ 学習経験
→ 「子どもの心と体のつながりに関心」→ 関心領域
→ 「学校現場で支えたい」→ 志望の結論
2. 自分の経験や信念で置き換える
→ 「高校時代に看護ボランティアに参加した」
→ 「体調不良の子どもに声をかけることの難しさを痛感した」
→ 「だからこそ、正しい知識と柔軟な姿勢で子どもを支えたい」
3. 論理的接続を行い、自分の語りとして再構成する
→「高校時代のボランティア経験を通じて、子どもの不調に寄り添う難しさと責任を感じました。
その経験が原点となり、保健室という専門的な場で子どもの安全と安心を守る仕事に就きたいと考えるようになりました。」
このように、「模範的構造」を活用しつつも、内容は自分の過去や価値観に結びつけて再構成することが、面接での「語りの独自性」をつくります。
評価される語りの3つの共通点
実録回答の分析から、評価されやすい語りには次のような共通点があります。
① 語りが「構造化」されている
単なる思い出話ではなく、「きっかけ→実感→価値観→行動意志」という論理的な流れが一貫していることが評価されます。
② 語りに「個別性」がある
他の受験者と容易に区別がつくような具体性が含まれており、面接官に「その人ならではのストーリー」が印象として残る構成です。
③ 語りが「未来志向」である
過去の経験にとどまらず、「その支援観が、将来の教育活動にどう生きるのか」が語られており、実践的ビジョンが描かれています。
おわりに
“語れるようになる”とは何か
模範回答をいくつも読んでも、「自分の言葉で語れるようになる」こととは別の次元にあります。
語れるようになるとは、単に記憶するのではなく、経験を構造化し、言葉として引き出せる状態にすることです。
そのために重要なのは、「よくある質問」に対する“自分なりの文脈”を丁寧に整理しておくことです。
良い語りとは、特別な言葉ではなく、整理された経験の言語化にほかなりません。
次回(第13回)は、「場面指導」への対応力を高める第一歩として、保健室内での典型的なケース(過換気・けんか・緊急時対応など)への考え方と語り方を、具体的に検討していきます。
どうぞご期待ください。
河野正夫


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