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第12回:<大学生のための面接無料講座> 「困難をどう乗り越えたか?」の語り方に説得力を。

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月17日
  • 読了時間: 5分

第12回:「困難をどう乗り越えたか?」の語り方に説得力を


“成功談”よりも“試行錯誤”のプロセスに光を当てる



はじめに


「失敗や困難」をどう語るかが人物評価の核心になる



教員採用試験の面接では、「困難を経験したことはありますか?」「そのとき、どのように乗り越えましたか?」という質問が頻繁に投げかけられます。


この問いは、単なるエピソード紹介ではなく、受験者の人間性、内省力、課題対応力、そして教育者としての成長可能性を測る問いです。


にもかかわらず、実際には「一度うまくいかなかったが、努力して成功しました」といった成功談へのすり替えや、「頑張ったら何とかなりました」といったプロセス不在の語りに終始してしまうケースが少なくありません。


本稿では、「困難の語り」がなぜ重要なのかを確認したうえで、面接官に伝わる語りの構造・戦略・演習方法を解説します。





1.面接官はこの質問で何を見ているのか?


この質問の意図は、単に「苦労話」を聞くことではありません。



以下の4つの力が評価されています。



(1)内省力(Reflectiveness)


過去の出来事を振り返り、自分の感情や行動を分析し、意味づけできるか。



(2)課題対応力(Problem-solving capacity)


困難に直面したときにどのように思考・行動し、乗り越えようとしたか。



(3)粘り強さ・持続力(Perseverance)


結果がすぐに出ない状況でも、あきらめずに継続した姿勢があるか。



(4)自己効力感(Self-efficacy)


「自分は状況を変えられる」という実感と、それに基づく主体的行動をとれるか。



このように、“困難の語り”は、教育現場で直面する問題への対処能力や精神的安定性を測る信頼性の高い質問形式なのです。



2.よくあるNGパターンとその改善



【NG例①】「成功体験の脚色」型


例:「練習を重ねて試合で優勝しました」


→ 困難ではなく、成功談にすり替えられており、評価されません。


改善:「練習中の不協和や自己否定など、困難な過程」に焦点を当てる。



【NG例②】「困難が曖昧」型


例:「ちょっと大変な時期がありましたが、なんとか頑張りました」


→ “何が”困難だったのか、“なぜ”そうだったのかが不明確。


改善:客観的に困難であると説明できる状況と、自分の感情・葛藤を言語化する。



【NG例③】「結果主義」型


例:「その結果、成功できて自信がつきました」


→ プロセスや学びが希薄で、単なる結果報告になってしまう。


改善:「行動プロセス」と「自己成長の視点」への比重を高める。



3.説得力を生む語りの4構造フレーム:


STAR+GROWモデル



困難の語りは、以下の2つの構造を組み合わせて話すと効果的です。



【STAR法】(状況 → 課題 → 行動 → 結果)


Situation:どんな場面・背景だったか


Task:どのような困難・課題があったか


Action:自分はどのように行動したか


Result:どのような結果・学びがあったか



【GROW視点】(Goal → Reality → Options → Will)


Goal:当時の自分が達成したかった目標は?


Reality:実際にはどんな制約や困難があったか?


Options:どんな選択肢を考え、何を選んだか?


Will:その経験をどう今後に活かす意志があるか?



この2つを組み合わせることで、「実在する困難」と「それを乗り越える構造的行動」が明確に伝わります。



4.実践モデル:


模範的な語り例



質問:「困難をどう乗り越えましたか?」



大学2年次に、地域の学習支援ボランティアで初めて授業を担当した際、子どもたちが全く話を聞いてくれず、教室が収拾のつかない状態になったことがありました。


当時は「自分には向いていないのでは」と感じるほど落ち込みましたが、先輩ボランティアに相談し、まず子どもと信頼関係を築くことに焦点を切り替えました。具体的には、授業の前後に一人ひとりに声をかけ、名前を覚えて積極的に話すよう努めました。


数週間後には、子どもたちが私の話をしっかり聞くようになり、授業中の発言も増えていきました。


この経験から、「子どもが学ぼうとする土台には、安心できる人間関係がある」ということを実感し、困難を前向きに捉えて行動を調整する姿勢を身につけることができました。



この語りでは、「自分の無力感」→「試行錯誤」→「関係性重視への転換」→「教職観の深化」という流れが自然に展開されています。



5.語りの信頼性を高める3つの工夫



● 工夫①:「ネガティブな感情」にも触れる


→ 落ち込んだ/悩んだ/自信がなかった、といった感情の描写はリアリティを高めます。



● 工夫②:「学んだこと」を価値化する


→ その経験が、今の自分の価値観や行動方針にどうつながっているかを明確に語る。



● 工夫③:「今後の展望」で締めくくる


→ 「この経験を活かし、現場でも困難を成長の機会と捉えたい」といった語りは、自己効力感の表現として効果的です。



おわりに


困難の語りとは「成長の物語」である



面接で語る困難とは、「過去の恥ずかしい失敗」ではなく、「自分が教育者として成長する基点となった体験」です。


だからこそ、逃げずに向き合い、自分なりの言葉で語ることが大切です。


その語りには、「自分は壁にぶつかっても考え、行動し、前に進める人間である」というメッセージが含まれています。


そしてそれが、子どもに寄り添い、現場で支え続ける教員に求められる資質です。


「困難から逃げなかった経験」は、他者に語れる最大の信頼資産です。


それを、構造的に、かつ誠実に語ることが、合格への確かな一歩になります。



次回予告



第13回:「あなたの強み・弱み」


自己分析の“ズレ”をどう防ぐか



面接でよく問われる「自己PR」や「改善点」の語りが、評価される人とそうでない人の差はどこにあるのか。


説得力ある“自己理解”の言語化方法を解説します。




河野正夫


 
 
 

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