第11回:面接で語る「あなたらしい支援」とは?『養護教諭のための無料講座』
- 河野正夫
- 2025年6月17日
- 読了時間: 4分
『養護教諭のための無料講座』【全20回連載テーマ一覧】
第11回:面接で語る「あなたらしい支援」とは
経験に基づくストーリー化と信頼性の高め方
差別化される「支援観」の表現技術
はじめに
「あなたらしさ」とは何かを問い直す
「あなたらしい支援とは何ですか」という問いは、多くの受験者が直面する設問です。
特に、この形で聞かれることはありませんが、面接官は、養護教諭として、あなたがどんな眼差しで、支援をするかに注目しています。
ありふれた抽象表現や優等生的な理念を述べるだけでは、説得力も印象も残りません。
問われているのは「支援の内容」ではなく、「その支援をどのように理解し、どのように実践してきたか」という実践と自己理解の結晶です。
つまり、「らしさ」とは主観の美辞麗句ではなく、経験の中に織り込まれた行動原理を、教育的文脈で再構成することによって初めて表現可能になります。

支援経験の語りを「主観」から「構造」へ
面接における語りでは、「私は〜したことがあります」「〜してあげた経験があります」といったエピソード提示にとどまらず、その経験から何を学び、どのような価値観を形成し、それがどう支援観につながっているのかを、段階的に構成することが重要です。
ストーリー構成の三段階モデル
1. 状況と対象の具体化
例:「保健室に頻繁に来室する女子児童がいました。体調不良ではなく、授業前になると“気持ちが悪い”と訴えてきました。」
2. 行動と関わりの焦点化
例:「私は無理に教室に戻すことはせず、担任の先生連携し、まずは安心して話せる時間を確保することを重視しました。」
3. 振り返りと支援観の定義化
例:「その経験から、支援とは“問題を解決する”ことよりも、まずは“居場所をつくる”ことだと実感しました。」
このように、支援対象→支援行動→支援観形成の順で語ることにより、エピソードが理念へと昇華され、面接官に“支援に対する考えの深さ”を伝えることができます。
「支援観」を言語化する3つの視点
語られるべき「支援観」には、いくつかの評価されやすい焦点があります。
以下に、面接場面で有効な視点を3つ紹介します。
① 安心の保障としての支援
支援とは「指導」や「助言」以前に、「その子が安心していられる場を確保すること」であるという認識です。
この視点は、保健室の機能と重なり、養護教諭としての姿勢が自然に表れます。
「支援の第一歩は、その子が安心して話せる雰囲気を整えることだと考えています。」
② 関係性の構築としての支援
一方的な“指導”ではなく、子どもとの信頼関係の中で成り立つ“支援”を重視する視点です。
継続的な関わりや、子どもの主体性を尊重する姿勢が評価されやすくなります。
「一度の関わりで変化を求めるのではなく、小さな信頼を積み重ねることが私の支援の基本です。」
③ 自立支援としての支援
単なる依存や保護にとどまらず、最終的には子ども自身が自己決定できる力を育てる支援を目指す視点です。
長期的な教育的支援のビジョンが感じられます。
「困った時に頼れる場を用意しつつ、自分で対処できる力を育てていくことが支援の理想です。」
「あなたらしさ」の輪郭をつくる問いかけ
以下の問いを自分に投げかけることで、支援観の輪郭を明確にしていくことができます。
☆なぜそのような支援を選んだのか?
☆その支援は、他の人でもできるものだったか?自分である理由は?
☆結果だけでなく、過程で自分が意識したことは?
☆その支援経験が、今の自分にどう影響しているか?
これらの問いに対する答えが積み重なることで、「あなたらしい支援」がエピソードの奥行きと共に浮かび上がります。
おわりに
語りの中に人格が宿る
面接において最も評価されるのは、支援に関する「経験そのもの」ではなく、それをいかに構造的に理解し、誠実に語るかという姿勢です。
支援観は、テクニックやマニュアルでは補えません。語りの中にこそ、その人の人格と職業観が宿るのです。
「あなたらしい支援」を語るということは、支援者としてのあなたの在り方を問われているということです。
これまでの実践を省察し、そこにどのような理念が通底していたのかを、自らの言葉で再発見してみてください。
次回(第12回)は、実際の模擬面接の再現回答から、どのような語りが評価されるのかを分析し、再現力と応用力を高める方法について検討していきます。
どうぞご期待ください。
河野正夫


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