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第11回:ナンバリングとラベリング。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
1 分前
読了時間: 9分

【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)


第11回:ナンバリングとラベリング



★二つの技法の名前



今回は、ナンバリングとラベリングという二つの技法を扱います。


どちらも、話を聞きやすくするための技法です。


話の中身を変えずに、受け取りやすさだけを上げます。


覚えることは少なく、使い始めたその日から効きます。



順番に説明します。





★ナンバリングとは



ナンバリングとは、これから語る項目の数を、話の最初に示す技法です。


言い方は、こうなります。



私が考える理由は、三つあります。


取り組みたいことは、二点あります。


順番に、二つ申し上げます。


大きく二点に分けて、お答えします。



この一言を先に置くだけです。


置く場所は、冒頭の返事のすぐあとです。


はい、と答えてから、数を示します。



効果は、聞き手の側に出ます。


面接官は、三つあります、と聞いた時点で、今からいくつ話を聞けばよいのかがわかります。


終わりが見えている話は、楽に聞けます。


一つ目が終わったとき、まだ二つ来ると知っているので、安心して待てます。


数を言わないと、面接官は、いつ終わるのかわからないまま聞くことになります。


一つ目が終わったところで、答えが終わったと受け取ることもあります。


そこへ二つ目が始まると、声が重なります。



話す側にも効果があります。


三つあります、と宣言した人は、三つで終わります。


宣言しないと、話しているうちに思いついたことを足してしまい、長くなることがあります。



そして、終わりが伝わります。


宣言した数を言い終われば、答えが終わったことが面接官に届きます。



★ラベリングとは



ラベリングとは、それぞれの項目に、一言で表す見出しを先に付ける技法です。



言い方は、こうなります。



一つ目は、信頼関係の構築です。


二つ目は、ICTの有効活用です。


三つ目は、家庭との連携です。



この見出しを言ってから、中身の説明に入ります。



効果は、結論が先に来ることです。


見出しを聞いた面接官は、これから何の話が始まるのかを、聞く前に知ります。


ですから、続く説明を、その見出しの中身として受け取れます。


置き場所が先に決まっているので、説明が頭に入ります。



一つの項目で、違いを見てみます。


見出しを付けない場合は、こうなります。



教室に入ることが難しいときには、保健室や相談室など、その子が落ち着いて過ごせる場所を用意します。



見出しを付けると、こうなります。



一つ目は、居場所の確保です。教室に入ることが難しいときには、保健室や相談室など、その子が落ち着いて過ごせる場所を用意します。



説明の文は、一字も変えていません。


前に見出しを足しただけです。



見出しを付けずに説明から入ると、面接官は、これは何の話だろうと考えながら聞くことになります。


考えながら聞いているので、説明の半分しか入りません。



★二つを組み合わせます



ナンバリングとラベリングは、組み合わせて使います。


不登校傾向の児童生徒への対応について聞かれた場合で、やってみます。


まず、二つの技法を使わない形です。



「はい。教室に入ることが難しいときには、保健室や相談室など、その子が落ち着いて過ごせる場所を用意します。保護者の方とも小まめにやりとりをして、学校と家庭で見ている姿をそろえます。学年の先生方や養護教諭の先生、スクールカウンセラーとも、気づいたことを共有していきます。」



内容は足りています。ただ、三つのことを述べているという形が、聞いている側に見えません。



次に、二つの技法を使った形です。



「はい。私が大切にしたい対応は、三つあります。


一つ目は、居場所の確保です。教室に入ることが難しいときには、保健室や相談室など、その子が落ち着いて過ごせる場所を、学校の中に用意します。


二つ目は、家庭との連携です。保護者の方と、その子の様子を小まめにやりとりして、学校と家庭で見ている姿をそろえます。


三つ目は、校内での情報の共有です。学年の先生方や養護教諭の先生、スクールカウンセラーと、気づいたことをその日のうちに共有します。」



中身は、ほとんど同じです。足したのは、三つあります、という一言と、三つの見出しだけです。


それだけで、聞きやすさが変わります。



★もう一つ、別の例で見ます



項目が二つの場合も、同じように作れます。



授業づくりで工夫していることは何ですか、という質問で、やってみます。



「はい。二点あります。


一つ目は、めあての示し方です。授業の最初に、今日できるようになることを一文で板書して、声に出して読みます。文が長くなると子どもが覚えられませんので、一文に収まる長さにしています。


二つ目は、振り返りの取り方です。授業の終わりに、わかったことと、まだわからないことを、どちらも書ける形にしています。わからないと書いてくれた子のところは、次の時間の初めに取り上げます。」



項目が二つのときは、一つあたりの説明を長く取れます。二文か三文まで入ります。



★なぜ聞きやすくなるのか



前回、話し言葉は巻き戻せないという話をしました。


文章の読者は、わからなくなったら前に戻れます。


面接官は戻れません。音は一度だけ流れます。


ですから面接官は、聞きながら、同時に頭の中を整理しています。


ナンバリングとラベリングは、その整理を手伝う技法です。



数は、いくつ入れる箱を用意すればよいかを教えます。


見出しは、それぞれの箱に何を入れればよいかを教えます。


箱が先に用意されていると、説明がそこに入ります。



面接室には、面接官が二人か三人います。


一人が質問をしているとき、別の一人は手元の紙を見ていることがあります。


全員が、同じように集中して聞いているわけではありません。



数と見出しが入っていると、途中から聞き始めた面接官にも、話の形が伝わります。



メモを取りながら聞いている面接官もいます。


見出しが付いていると、そのままメモに書けます。


居場所の確保、家庭との連携、校内での情報の共有。


三語が紙に残ります。



★見出しの言葉を選ぶ



ラベリングで使う見出しには、選び方があります。五つ挙げます。



1.短くする



見出しは、一息で言える長さにします。目安は、十字くらいまでです。


居場所の確保。家庭との連携。めあての示し方。当番の決め方。この程度の長さです。


長くなると、見出しなのか説明なのかが、聞いている側に区別できなくなります。



2.聞いてすぐ意味がわかる語にする



造語を作りません。自分だけの言い回しも避けます。


意味の取りにくい見出しを出すと、面接官がその言葉について聞いてきます。説明に時間を取られて、話したかった中身が削られます。



3.名詞で止める



居場所の確保。家庭との連携。情報の共有。このように名詞で止めると、見出しらしく聞こえます。


居場所を確保することが大切だと思います、という形にすると、見出しにならず、一つの主張になってしまいます。



4.説明の中身と合わせる



居場所の確保という見出しを付けたなら、続く説明は居場所の話にします。


見出しと説明がずれると、聞いている側が混乱します。これは、見出しを付けなかった場合より悪くなります。



5.三つの見出しの大きさをそろえる



居場所の確保、家庭との連携、校内での情報の共有。この三つは、どれも取組の種類の名前です。大きさがそろっています。


ここに、毎朝、必ず名前を呼んで声をかけること、という三つ目を入れると、そろいません。三つ目だけが具体的な行為の名前になっています。


この場合は、声のかけ方、のように言い直します。


題材ごとに、見出しの例を挙げておきます。



学級経営なら、朝の時間の使い方、当番の決め方、席の替え方。


授業なら、めあての示し方、発問の作り方、振り返りの取り方。


保護者対応なら、事実の確認、学校として伝える内容をそろえること、記録の残し方。



どれも、学校の中で実際に行われていることの名前です。


難しい言葉を探す必要はありません。



★数の決め方



いくつにするかは、与えられた時間で決めます。


一つの回答は、三十秒から四十秒が目安です。


この長さなら、二点か三点が入ります。


三点にすると、一つあたりの説明は一文か二文になります。


取組や手順を答える質問では、この形で足ります。


二点にすると、一つあたりの説明を長く取れます。


考えや経験を答える質問では、こちらのほうが語りやすくなります。


一分間程度でお願いします、と言われたときは、三点でも余裕があります。



決めた数は、守ります。


三つあります、と言ってから二つしか述べないと、聞いている側は三つ目を待ちます。


逆に、二つと言ってから三つ述べると、宣言した意味がなくなります。


数を宣言する前に、頭の中で項目を数えておきます。



★原稿の作り方



準備の段階で、この形を作る手順を書いておきます。



1.答える項目を書き出す


まず、その質問に答えたいことを書き出します。


この段階では、見出しを気にしません。



2.それぞれに見出しを付ける


書き出した項目に、短い見出しを付けます。


付けにくい項目は、中身がまだはっきりしていない項目です。



3.見出しの大きさと形をそろえる


全部を名詞で止めます。長さも近づけます。


そろわない項目は、言い直すか、外します。



4.数を数えて、宣言の一言を作る


残った項目の数を数えて、冒頭の一言を作ります。


三つあります。二点あります。



5.声に出して、時間をはかる


最後に、声に出して読みます。三十秒から四十秒に収まっていれば、そのままで使えます。


超えていれば、説明を短くするか、項目を一つ外します。



★使うときの注意



最後に、一つだけ注意を書きます。


二十分から三十分の面接で、すべての回答をこの形にすると、形が目立ちます。


三つあります、一つ目は、二つ目は、という言い方が続くと、用意してきた原稿を読んでいるように聞こえます。



第6回で、語りの様式を選ぶという話をしました。


面接の語りは、中身を日常のところから持ってきて、形式だけを公式にします。


ナンバリングとラベリングは、形式の側の技法です。


使いすぎると、形式だけが前に出ます。



ですから、質問の種類で使い分けます。


取組や手順を聞かれた質問では、使います。


何をどの順でやるのかを並べる形が合っているからです。



自分の経験や、どう考えているかを聞かれた質問では、一点に絞って、場面を一つ語る形も使えます。


この場合は、数を宣言しません。


一つの面接の中で、この形を使う回答が二つか三つあれば十分です。



★まとめ



ナンバリングは、これから語る項目の数を、先に示す技法です。


聞き手に終わりを見せます。


ラベリングは、それぞれの項目に、一言の見出しを先に付ける技法です。


聞き手に置き場所を渡します。


二つを組み合わせると、同じ中身が、はっきりと伝わるようになります。


足すのは、数を言う一言と、短い見出しだけです。


見出しは、短く、聞いてすぐわかる言葉にして、名詞で止めます。


数は、与えられた時間で決めて、決めた数を守ります。


そして、すべての回答で使う必要はありません。


取組や手順を聞かれたときに使うと、いちばん効きます。




河野正夫




 
 
 

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