第11回:<大学生のための面接無料講座> 「保護者・同僚との関係」への答えを具体化する方法
- 河野正夫
- 2025年6月16日
- 読了時間: 5分
第11回:<大学生のための面接無料講座> 「保護者・同僚との関係」への答えを具体化する方法
“関係調整力”を問われる質問に、協働性と誠実さでどう応じるか
はじめに
「子どもだけを見ていればいい」時代は終わった
教員採用試験の面接では、「保護者との関係はどう築きますか?」「同僚と意見が合わなかったときどうしますか?」といった、“対大人”との関係性を問う質問が頻出します。
これは現代の教育現場が、チームとしての学校運営を基本とし、教職員間や家庭との連携が必須となっていることを示しています。
一方で、受験者の多くがこうした質問に対して「相手の話をしっかり聞きます」「笑顔で接します」といった抽象的な語りに終始してしまい、面接官から「具体性が乏しい」「現場理解が甘い」と評価されるケースが後を絶ちません。
本稿では、保護者・同僚との関係性を問う面接質問に対し、協働性・誠実性・現実理解に基づいた説得力ある語りを展開するための思考法と構成技術を解説します。

1.面接官が“関係構築”の質問で見ている力
この種の質問は、単なる対人スキルではなく、以下のような組織的適応力・対人調整力・価値観の安定性を総合的に測る意図があります。
(1)相手の立場を想像する力(共感性)
保護者・同僚がどのような状況で何を求めているかを想像し、対応できるか。
(2)問題が生じたときの冷静な対応力(協働的問題解決力)
トラブルや意見の食い違いがあっても、感情的にならず、建設的な対応ができるか。
(3)日常的な関係の構築・維持力(コミュニケーションの継続性)
一度の関わりではなく、継続的な信頼関係を築こうとする姿勢があるか。
この問いには、実は“子どもを取り巻く環境に誠実に関わる力”が問われています。
2.「伝わらない語り」にならないための注意点
● 注意点①:「聴くことが大事です」だけで終わらせない
→聴く姿勢は当然の前提です。それを具体的にどう実践したか/しようと考えているかが必要です。
● 注意点②:「明るく挨拶をする」などの表層的表現に頼らない
→初対面の印象だけでなく、継続的な関係づくりの視点が欠かせません。
● 注意点③:理想論を語る一方で「現実の難しさ」に触れない
→現場では意見の対立や保護者からの厳しい要求もあるという現実を理解し、それをどう乗り越えるかを語る必要があります。
3.“語れる関係性構築”をつくる3つの思考軸
質問に対して具体的に答えるためには、次の3つの軸を押さえておくことが有効です。
【軸1】どのような姿勢で関わるか(価値観)
例:「対話を通して信頼を築く」「背景を知ろうと努める」「否定せず受け止める」
【軸2】どのような場面でその姿勢が求められるか(具体性)
例:保護者対応(クレーム・連絡帳・家庭訪問)/同僚関係(学年会議・指導方針の違い)
【軸3】どのような行動で姿勢を表すか(実践性)
例:「話を最後まで聴く」「相手の意図を確認してから提案する」「一人で抱え込まず相談する」
この3軸を組み合わせることで、「表面的でない、伝わる語り」が可能になります。
4.PREP+問題対応型構成で語るフレーム
関係構築の質問には、次のような論理構成で答えると、思考と実践の一貫性が明確になります。
P(Point):
私は○○な姿勢を大切にして、保護者・同僚と関係を築きたいと考えています。
R(Reason):
△△という経験から、信頼関係の重要性を強く感じたからです。
E(Example):
たとえば、□□の場面では~という工夫をしました/したいと考えています。
P(再提示):
教育はチームで行う営みであるため、今後も誠実で双方向的な関係づくりに努めたいと考えています。
5.実践モデル:模範的な語り方
質問:「保護者との関係はどう築きますか?」
私は、保護者との関係においては「誠実な対話と情報共有」を大切にしたいと考えています。
ボランティア活動で、学習の様子を保護者に伝える役割を任された際、事実だけでなく、子どもの前向きな変化を丁寧に言葉にして伝えたところ、「家でも励みにしています」と感謝の言葉をいただいた経験があります。
このとき、家庭と学校が連携することで、子どもの学びがより豊かになることを実感しました。
教員となってからは、連絡帳や面談を通じてこまめな情報発信を行い、保護者の声にも耳を傾けながら、子どもを中心に据えた協働的な関係づくりを心がけていきたいです。
質問:「同僚との意見が合わなかったとき、どうしますか?」
私は、まず相手の立場や考えを丁寧に聴き、共有できる視点を探すことを大切にします。
大学のゼミ活動で発表方針を巡って意見が対立した際、まず全員の懸念点を書き出し、優先事項を明確化することで、合意点を見出せた経験があります。
その経験から、違いを前提とした“対話的合意形成”の重要性を学びました。学校現場でも、価値観の違いを尊重しながら、目的を共有し、協働的に業務に取り組む姿勢を大切にしたいと考えています。
6.“大人との関係”を語る上で差がつく3つの工夫
● 工夫①:「子ども中心」の視点を忘れない
→ 教員・保護者・同僚の関係性は、すべて子どもの学びと育ちを支えるための協働体制であることを強調すると好印象です。
● 工夫②:「自分だけで解決しようとしない姿勢」
→ チームとして動く教員の姿勢が求められているため、「相談・共有・連携」の言葉が説得力を高めます。
● 工夫③:「自分の弱さ」にも触れる
→ 「自分の判断だけでは偏る可能性があるからこそ、周囲との連携を大切にしたい」といった語りは、謙虚さと柔軟性の表現として高評価されます。
おわりに
“協働”は語るだけでなく、構造として示す
保護者・同僚との関係性に関する面接質問は、単なる人間関係の良好さを問うものではありません。
むしろ、それは教育を「一人ではできない営み」として捉える視点をもっているか、そしてその中でどう他者と協働し、自分の役割を果たそうとするかを問う問いです。
「自分は、関係の中でどのように動く人間か?」という自己理解と、それを支える経験・価値観・実践意欲。この3点を結びつけて語ることができれば、あなたの“協働する教師像”は面接官の心に確かに届くでしょう。
次回予告
第12回:「困難をどう乗り越えたか?」の語り方に説得力を
単なる成功談では評価されない時代。
苦しかった体験をどう振り返り、どう乗り越えたかを語ることで、「粘り強さ」や「自己効力感」を面接でアピールする方法を解説します。
河野正夫



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