top of page
検索

第10回(最終回):模擬問答で仕上げ:想定問答の組み立て方と練習法【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のために】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年7月7日
  • 読了時間: 7分

【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のための無料面接講座(連載・全10回)】



第10回(最終回):模擬問答で仕上げ


想定問答の組み立て方と練習法



本連載では、教員採用試験における講師枠・現職枠の面接対策として、経験に基づいた語りの技法と構造をこれまで9回にわたって扱ってきました。


最終回となる今回(第10回)は、それらの蓄積を面接本番で最大限に発揮するための「模擬問答の構築」と「練習の方法」をテーマに取り上げます。


面接試験では、どれだけ豊かな経験をもっていても、それを「整理された言葉」で伝えられなければ評価にはつながりません。


模擬問答は、単に予想される質問への答えを暗記する作業ではなく、「自分の教育観や経験を、相手に伝わる形で表現する」ための対話的な思考訓練です。


本稿では、過去問の活用方法、応答の構造化、模擬演習の実践方法、セルフチェックの観点までを段階的に整理し、戦略的かつ柔軟な面接対応力を高める方法を具体的に解説します。





面接とは「問いに答える場」ではなく「対話を構築する場」



まず前提として、面接とは「正解を述べる場」ではありません。


むしろ、「相手の問いを受け止め、それに対して自分の経験や価値観をどのような論理と感情で返せるか」を問う対話の場です。


面接官は受験者に問いかけることで、「この人と一緒に働くことができるか」「子どもたちに対して誠実に向き合えるか」を見極めようとしています。


したがって、模擬問答の準備は、予定された“台詞”を記憶することではなく、「問いに応じて自分の考えを再構成する力」を鍛える訓練として位置づける必要があります。


型は持ちつつも、柔軟に展開できる“応答の筋肉”を育てることが最終目的です。



ステップ1:


過去問・想定問の体系的整理



面接対策の出発点としてまず行うべきは、自治体や都道府県によって実施されてきた「過去の面接質問」の収集と分類です。


これを行うことで、どのようなテーマが頻出であり、どのような観点から受験者が評価されているかの傾向が見えてきます。



【主な頻出テーマ】



☆教師として大切にしたいこと(教育観)


☆指導経験の具体例(授業・学級経営・困難の乗り越え)


☆志望動機と教職への思い


☆保護者・同僚との連携


☆子ども理解やトラブル対応


☆チームの一員としての自覚


☆教育課題(いじめ、ICT、特別支援教育など)への考え方



これらの問いを一覧化したうえで、「自分の軸」となる答え方を紐づけていくと、どの問いが来ても共通の価値観や経験から展開できるようになります。



ステップ2:


応答の構造をテンプレート化する



模擬問答を準備する際には、答えの“構造”をテンプレートとして用意しておくと、瞬時の応答にも対応しやすくなります。以下に、汎用性の高い3つの構造パターンを紹介します。



1.PREP法(Point-Reason-Example-Point)



Point:


結論(私が大切にしているのは〜です)



Reason:


理由(その理由は〜)



Example:


具体例(例えば、〜という場面では〜)



Point:


まとめ(この経験から今も〜を心がけています)



最も基本的かつ説得力のある構造です。短時間でも内容が整理されて伝わります。



2.BEAR法(Background-Event-Action-Reflection)



Background:


場面設定(どんな背景があったか)



Event:


出来事(どのような出来事が起きたか)



Action:


自分の行動(どう判断・対応したか)



Reflection:


気づき・成長(何を学んだか、今後にどう活かすか)



困難経験・トラブル対応・成長を語る際に効果的な構造です。



3.三層構造(理念・行動・変化)



理念:


何を大切にしていたか



行動:


どのように具体的に関わったか



変化:


どのような変化や成果が見られたか



教育観や学級経営観を語る際に、理念と実践をつなぐ構造として有効です。



ステップ3:


模擬問答の演習方法



構造化された答え方が定まったら、実際に模擬演習を行いましょう。演習には3つの段階があります。



1.録音・録画によるセルフチェック


自分の答えを音声・映像で記録することで、「話し方の癖」「語尾の曖昧さ」「語りの冗長さ」など、自覚しにくい点が明確になります。



チェックポイント:



☆結論が先に出ているか


☆主語と述語が一致しているか


☆同じ言葉の繰り返しがないか


☆表情や声のトーンが自然か



2.フィードバックを受ける模擬問答



信頼できる第三者(優れた面接指導者が最も望ましい)と模擬問答を実施し、客観的な視点からの意見をもらいます。


第三者の問いに対して即興で応じる訓練は、最も実践的な準備となります。



おすすめの質問例(ごくわずかの例にすぎません。):



「あなたが教師として最も大切にしていることは何ですか?」


「これまでに失敗した経験はありますか? そこから何を学びましたか?」


「学級経営において重視している点を教えてください」


「ICT活用について、どのような工夫をしていますか?」



3.テーマ別の「言語化カード」づくり



準備段階で「テーマごとのキーワード」や「経験メモ」をまとめたカードをつくっておくと、話の軸がぶれず、面接直前の確認にも役立ちます。



カード例:


テーマ:


子ども理解


→ キーワード:「背景を探る」「言葉で返す」「応じる準備」


→ 体験メモ:「Aくんが声を出せなかった場面/休み時間のやりとり」



ステップ4:


セルフチェック観点の精緻化(修正版)



最終的な仕上げとして、自分の語りを客観的に評価するための観点を用意しておくと、模擬問答の質が格段に高まります。


以下の観点を参考に、自己評価を行いましょう。



まず第一に重要なのが「一貫性」です。


これは、個別の応答が他の語り内容と矛盾していないか、また自分が語ってきた教育観との整合性が保たれているかどうかを確認する観点です。



次に必要なのが「論理性」です。


自分の語りの中で、結論が明確に示されているか、そしてその結論に至る理由や根拠がきちんとつながっているかどうかを見直します。



三つ目の観点は「具体性」です。


抽象的な理念やスローガンだけで話が終わっていないか、具体的な実践例やエピソードがきちんと含まれているかを確認しましょう。



四つ目は「共感性」です。


語りが一方的・独善的になっていないか、自分の言葉が第三者にも伝わる視点を持っているかを吟味します。自分だけが納得している語りになっていないかを注意深く見つめ直すことが必要です。



最後に、「柔軟性」という観点も非常に重要です。


面接では想定外の質問が出ることもありますが、そのような問いに対しても、自分が準備してきた語りの構造を応用して、冷静に答えることができるかどうかを確認します。


自分の語りがテンプレートに依存しすぎていないか、汎用的に展開できるかという点で評価します。



総括:


第10回のまとめ



☆面接は「対話」を構築する場であり、答えを記憶する場ではない


☆過去問を体系的に整理し、自分の経験と価値観をマッピングする


☆PREP・BEAR・三層構造などのテンプレートを活用し、構造化された応答を準備する


☆模擬問答では、録音・他者フィードバック・カード作成など多角的に練習する


☆セルフチェック観点を定め、語りの完成度を客観的に評価する



おわりに:


言葉の背後にある「自分自身」を届けるために



10回にわたって続けてきた本連載も、今回で一区切りとなります。経験者枠の面接では、豊富な実践を持ちながらも、それをどう語るかによって結果が大きく左右されるという難しさがあります。


しかし、語りとは、単なる表現技術ではありません。


語ることで、自分の歩みを整理し、教育観を更新し、教師としての軸を深めていく、そうした自己形成の過程でもあります。


面接は評価の場であると同時に、自分の教育観と実践を、他者に手渡す貴重な機会です。


問いに応じて、誠実に、等身大で、そして構造的に語る。


その姿勢こそが、教師として最も大切な資質の一つです。


あなたの語りが、面接官の心に届き、そして子どもたちに届く未来へとつながることを願って、本連載を終えます。




河野正夫



 
 
 

コメント


bottom of page