第10回 教育の最新課題を踏まえた答え方(いじめ・不登校・ICT等)
- 河野正夫
- 2025年9月4日
- 読了時間: 6分
第10回 教育の最新課題を踏まえた答え方(いじめ・不登校・ICT等)
<教員採用試験 面接合格講座(連載全30回)>
1.はじめに
教員採用試験の面接では、受験者の教育観や指導観を確認する質問だけでなく、最新の教育課題に関する質問が頻出します。
これは単に知識を問うものではなく、受験者が現代の教育現場に対してどのように理解し、どのような姿勢で課題解決に向き合うかを評価するものです。
教育現場を取り巻く環境は、いじめ、不登校、ICT教育、特別支援教育、多文化共生など、日々変化し複雑化しています。
面接官は、こうした課題への認識が浅い受験者に対しては、実践力や現場適応力に不安を抱きます。
逆に、最新課題を具体的に理解し、教育委員会の施策や教育理論と結びつけて語れる受験者は、即戦力として高く評価されます。
本稿では、面接で取り上げられやすい三大テーマ、いじめ、不登校、ICT教育を中心に、戦略的な答え方を解説します。

2.最新課題への答え方の基本原則
(1)事実と感情を分けて語る
教育課題は社会的影響も大きいため、感情的に語りすぎると論理性を欠きます。
まずは事実やデータを踏まえ、その上で自分の教育観や行動方針を述べることが重要です。
(2)教育委員会の施策を理解する
各自治体は教育振興計画や重点施策を策定しており、面接官もその方針に基づいて採用を行います。
課題に対する答えには、その地域の施策を自然に取り入れることで説得力が高まります。
(3)「課題理解 → 具体的行動 → 教育観」の流れで構成する
面接では、「課題を理解していること」だけでは不十分です。
「その課題に対して、現場でどう行動するか」「それが自分の教育観とどうつながるか」という流れを意識することで、論理的かつ一貫性のある回答になります。
3.いじめ問題への答え方
いじめは教育現場で最も深刻かつ複雑な課題の一つです。
文部科学省は毎年「いじめ防止基本方針」の改訂を進め、学校に迅速かつ組織的な対応を求めています。
(1)基本認識
いじめは「どの学校でも起こりうる問題」であり、学校全体で対応する必要があります。
面接で「自分のクラスにはいじめはない、なかった」と断言することは、現場理解が浅いと判断される可能性があります。
(2)初期対応の重要性
いじめへの対応は初期段階が極めて重要です。
小さなサインを見逃さず、担任だけで抱え込まず、管理職・養護教諭・スクールカウンセラーなどと連携してチームで対応する姿勢を示すことが大切です。
回答例
「いじめは早期発見と初期対応が重要だと考えています。子どもたちの表情や行動の変化を日常的に観察し、少しでも気になることがあれば管理職や関係機関と共有します。そして、子どもが安心して話せる環境をつくり、組織的に対応していきます。」(今回は、あえて、定期的なアンケート調査には言及していません。)
(3)予防的視点
いじめ対応は事後対応だけでなく予防も重視されます。
学級会活動や道徳教育を通じて、互いを尊重し合う学級風土を育てる姿勢を語ることも有効です。
4.不登校問題への答え方
不登校は近年急増しており、2023年度には全国で約30万人を超える深刻な状況となっています。
単なる「出席日数の問題」ではなく、子ども一人ひとりの安心と学びを保障する課題です。
(1)最新の考え方
従来は「学校に戻すこと」が不登校対応の中心でしたが、現在は「子どもに合った学びを保障する」という考え方へと変化しています。
学校復帰を一律の目標にせず、オンライン学習や適応指導教室など多様な選択肢を用意することが求められています。
(2)面接で語るべきポイント
☆子どもの気持ちを尊重し、無理に登校を迫らない。
☆家庭や専門機関と連携して支援する。
☆学習面・生活面双方のサポートを行う。
☆最終的なゴールは「子どもの社会的自立」である。
回答例
「不登校は単なる欠席ではなく、子どもが抱える不安や課題の表れと捉えています。子どもや保護者の思いを尊重し、スクールカウンセラーや適応指導教室と連携しながら、一人ひとりに合った支援を進めていきます。」
(3)地域施策との接続
不登校支援は自治体ごとに重点施策があります。面接では「この地域では〇〇事業が進められており、それに連携して支援したい」という形で語ると説得力が増します。
5.ICT教育への答え方
GIGAスクール構想により、1人1台端末が全国に配備されました。これにより、ICTは教育現場で不可欠な存在となっています。
(1)ICT活用の意義
ICTは単なる便利な道具ではなく、子どもの主体的な学びを支える手段です。
面接では「授業を効率化するため」だけではなく、「子どもの思考を可視化し、協働的な学びを促す」という視点を語ることが重要です。
(2)教師の役割
ICT活用が進むほど、教師にはファシリテーターとしての役割が求められます。
機器の操作が目的化しないよう、学習目標に沿った活用を考え、子どもが安全に使えるよう指導する責任があります。
(3)回答の構成例
1. 現状認識:GIGAスクール構想でICTが広がっていることを確認する。
2. 意義:主体的・対話的で深い学びの実現にICTを活かす。
3. 自分の経験:授業や研修でICTを活用した具体的事例を語る。
4. 未来志向:今後さらに活用を進めたいという姿勢を示す。
回答例
「ICTは子どもが主体的に学ぶための大切な手段だと考えています。授業ではタブレットを活用して子どもの考えを共有し、互いに意見を深め合えるように工夫しています。今後も、学習目標に即した活用方法を研究し、子どもたちが安心して使える環境を整えていきたいです。」
6.総合的な答え方の戦略
(1)幅広さと深さの両立
面接官は「最新課題を知っているか」だけでなく、「それを現場でどう活かすか」を見ています。
幅広い知識を持ちながら、自分の経験と結びつけて語ることが重要です。
(2)教育観との一貫性
いじめ、不登校、ICT活用はいずれも、子ども観や指導観と密接に関わります。
これらの課題に対する答えが、教育観と矛盾していないかを確認する必要があります。
(3)地域施策を自然に織り込む
自治体が取り組む具体的な施策名や重点目標を答えの中に自然に入れることで、地域への理解と定着性を示すことができます。
7.まとめ
教育委員会が面接で最新課題を問うのは、受験者が現場で直面する課題に対応できるかを確認するためです。
☆いじめは初期対応と組織的対応を重視する。
☆不登校は「子どもの気持ちを尊重した多様な学びの保障」が中心的視点となる。
☆ICT教育は「主体的・対話的で深い学び」の実現に活用する。
これらを単なる知識として語るのではなく、具体的な行動と教育観を結びつけて表現することが、合格答案につながります。
最新課題への理解と実践的姿勢を示すことは、面接で差をつける最も効果的な戦略です。
河野正夫



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