小論文シリーズ5 共生・協働の精神を育む
- 河野正夫
- 2025年6月9日
- 読了時間: 3分
【小論文課題】
「かわさき教育プラン」の基本目標の一つに「共生・協働」の精神を育むとあります。このことについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。
(600文字以内)

【小論文】
「共生・協働」の精神を育むためには、児童生徒一人ひとりが互いの違いを理解し、認め合い、共に学び合う経験を積み重ねることが重要である。かわさき教育プランが掲げる基本目標は、多様な背景をもつ人々が共に生きる社会の形成に向け、教育現場で育まれるべき資質を示している。特に、学級という小さな社会の中で、共生・協働の意識は基礎から育てていく必要がある。
私が担任した学級には、発達障害の診断を受けた児童Aが在籍していた。Aは音や視覚的刺激に過敏で、集団活動への参加に不安を抱えていた。私はまず、Aの特性に応じた配慮を学級全体に説明し、理解を広げる授業を行った。加えて、Aが安心して活動できるように役割を調整し、見通しのもてる支援を徹底した。同時に、他の児童にも「困っている友だちを支えることの価値」や「違いは排除する理由にはならない」という視点を道徳や学級活動の中で繰り返し伝えていった。
その結果、Aは徐々に活動に参加するようになり、周囲の児童も自然に協力し合う姿が見られるようになった。私はこの経験を通して、共生・協働の力は、他者の存在を認め、支え合う経験を重ねる中で育つものだと実感した。
今後も私は、全ての児童が安心して自分を出し、互いに違いを尊重しながら学べる環境を整えることを大切にし、学級経営や日々の授業の中に「共に生きる」実感を組み込みながら、共生社会の基盤を育てる営みを重ねていく。
【執筆の観点】
本小論文は、「共生・協働」という教育理念を抽象的に語るのではなく、実際の児童の姿に即して具体的に捉え、それを通じて教員としての取組と教育観を論理的に表現する構成を採用しています。
文字数制限の中で、理念、実践、児童の変容、今後の展望を明確に位置づけることを重視しました。
序論では、「共生・協働」の定義を簡潔に提示した上で、かわさき教育プランの基本目標に即した形でその社会的意義と教育的価値を明確にしました。
特に、「学級という小さな社会」における基礎的な実践の重要性を指摘することで、教育の現場性を強調しています。
本論では、発達障害のある児童Aに対する具体的な支援と、その支援が学級全体に与えた教育的な波及効果を、段階的に描写しました。
「特性に応じた支援」「学級全体への理解促進」「価値観の共有」という三つの柱を明示的に構成することで、個別支援と全体育成の両立を示しています。
結論部分では、経験を踏まえた教員自身の教育観と今後の実践への意思を明確にし、単なる成功事例の報告に終始せず、「共に生きる」教育を日々の営みとして継続していく決意を言語化しています。
抽象的な価値を具体的な教育活動にどのように転化するかという観点から、理念と実践、個別と全体、現場と社会を往還する構成となっています。
このように、小論文では教育目標を現実の教育行為に接続し、教師としての立場から言語化する力が問われます。
概念的理解にとどまらず、それをどのように学級経営や授業の中で展開していくかを具体的に描写することが、高評価の鍵となります。
文末においても、第三者的なまとめではなく、自らの教育実践に引き寄せて結ぶことが重要です。
河野正夫



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