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小論文シリーズ2 日本の子供たちの自己肯定感

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月6日
  • 読了時間: 4分

【小論文課題】


日本の子供たちの自己肯定感は、諸外国と比べて低いということが、過去の様々な調査結果から明らかになっており、新学習指導要領の前文においては、子供たちが自らのよさや可能性を認識することの重要性が示されています。本県では、第3期千葉県教育振興基本計画において、新学習指導要領に基づきこれからの時代に求められる資質・能力を育成していくためには、子供たちの自己肯定感、自尊感情の向上を図っていくことが重要な課題であるとしています。あなたは、学級担任や授業担当者として、子供たちの自己肯定感を高めるために、どのように取り組みますか。児童生徒の育成すべき資質・能力について触れながら、具体的に800字以内で述べなさい。

(800字以内)





【小論文】


子どもたちの自己肯定感を高めることは、学力や社会性の基盤となる極めて重要な課題である。日本の子どもたちは諸外国と比較して自己肯定感が低い傾向にあり、その背景には過度な競争や他者との比較、成功体験の乏しさなどがあると考えられる。だからこそ、教師は日々の学級経営や授業の中で、子ども一人ひとりのよさを見出し、認め、活かす姿勢を貫かなければならない。


私は、自己肯定感の向上を図るには、まず子どもが「受け入れられている」「役に立っている」と実感できる場面を積極的に設定することが不可欠だと考える。学級内で多様な係や委員会活動を用意し、子どもたちがそれぞれの特性や関心に応じて貢献できるようにすることで、自尊感情や所属感が育まれる。また、グループ活動やペア学習を通じて、互いの意見や努力を認め合う関係性を築き、他者から評価される経験を積ませたい。教師自身が、子どもの言動の小さな変化にも丁寧に気づき、肯定的な言葉で応じる姿勢も不可欠である。


加えて、授業においては「できる」「わかる」を実感できる構成を意識し、個別の達成に焦点を当てた評価を行うよう努める。特に学習指導要領が示す「主体的に学習に取り組む態度」の育成には、過程を認める声かけが重要である。「最後まで取り組んだことが素晴らしい」「自分なりの工夫が見える」といった具体的なフィードバックを重ねることで、自らの努力に価値を見出し、内発的動機づけが強化される。家庭との連携においても、保護者と協力して子どもの成長を共有し、安心して挑戦できる土台を築くことが大切である。


自己肯定感は、児童生徒の育成すべき資質・能力の基盤として、学びのあらゆる場面と密接に関わっている。私は今後、担任や授業者として、子どもたちが自分の価値を実感できる環境を整え、一人ひとりの成長を喜び合える学級づくりを継続的に追究していきたい。



【執筆の観点】


本小論文では、自己肯定感の向上を教育的課題として正面から捉え、その背景、具体的実践、制度的接続、教師としての展望という四層構造を意識して構成を行いました。


出題文が明示する三要素、国際的傾向としての課題認識、新学習指導要領および第3期千葉県教育振興基本計画の視点、資質・能力との関連に対して、論理的かつ実践的に応答することを目的としています。


まず序論においては、日本の子どもたちの自己肯定感が諸外国と比較して低いという現状に言及し、その要因を端的に整理したうえで、教師が果たすべき役割を位置づけました。


課題設定においては、個人的な見解に偏らず、社会的文脈と結びつけて主張の出発点を明確にすることを意識しました。


本論では、実践の方策を三つの観点から具体的に展開しました。


第一に、学級内における係活動や委員会活動の活用を通じて、児童が貢献の機会を得られる環境整備の重要性を示しました。


第二に、グループ活動やペア学習に代表される協働的学習場面の中で、他者からの承認を通して自己認識が肯定的に形成されるプロセスに焦点を当てました。


第三に、授業構成や教師のフィードバックによって、子どもが達成感と努力の価値を実感できる場面づくりの在り方を論じました。


加えて、家庭との連携や、学習指導要領に記された「主体的に学習に取り組む態度」との接続も組み込み、制度的正当性と実践の妥当性の両立を図りました。


教師の働きかけが教室内にとどまらず、保護者と協働して子どもの挑戦を支える構造へと広がることを示した点も、視野の広がりとして位置づけています。


結びでは、教師としての継続的な姿勢に言及し、個別の対応策だけでなく、教員としての理念と資質の持続的形成への意思を表明しました。


これは、教育課題への一時的な対応ではなく、教師という職業の根幹に関わる構えを示すものです。


小論文においては、与えられた教育的課題に対して、社会的背景を踏まえながら論理的に構成を組み立て、具体的な実践と制度的文脈を接続させた上で、自らの教育観を明確に表現することが求められます。


このような構成力と言語化能力は、教員採用試験における小論文の評価において、本質的に重視される資質であると言えます。



河野正夫



 
 
 

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