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小論文シリーズ23「SDGsの取り組み」

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 5 時間前
  • 読了時間: 3分

【小論文課題】


○○市は令和元年にSDGs未来都市に選定され、多くの学校もSDGsパートナーになっています。SDGsについて学校でどのように取り組んでいきますか。また児童生徒にどのように指導をしていきますか


(600文字以内)





【小論文】


 SDGsの理念を学校教育に取り入れる意義は、持続可能な社会の構築を児童生徒一人ひとりが自分事として考え、日常の学びと社会課題とをつなげる力を育てる点にある。○○市が未来都市に選定され、学校がSDGsパートナーとして役割を担う以上、単発の啓発活動にとどまらない、継続的かつ主体的な取り組みが求められる。


 私は、児童が地域との関わりの中でSDGsの視点を体感できる活動を重視したい。たとえば、「地域の食品ロスを減らすにはどうすればよいか」といった課題を題材に、地元のスーパーや農家への聞き取り、統計の分析、提案資料の作成を通して、児童が自ら問いを立て、情報を収集・整理し、具体的な行動に結びつける探究のプロセスを大切にする。その過程で、持続可能性は抽象的なスローガンではなく、生活に根ざした視点で考えられるべきこととして定着していく。さらに、取り組みの成果を学校内や地域に発信することで、学びの社会的広がりも実感できるようにしたい。児童の自信や所属感にもつながるこのような実践が、SDGsを内面化する土台となる。


 今後は、教科横断的にSDGsの視点を組み込むカリキュラムの工夫や、外部機関との連携による実践的な学びの充実を図りたい。児童生徒一人ひとりが「自分が社会に貢献できる存在である」と実感できる学びの設計を通して、主体的に未来をつくる人を育てていく。



【執筆の観点】



1. 序論における社会的背景の整理と教育的立場の明示


序論では、「SDGs未来都市の選定」や「学校がSDGsパートナーとしての役割を担う」という文脈を踏まえ、学校教育が地域社会の一員として果たすべき責任に触れています。


そのうえで、教育活動におけるSDGsの扱いを、「啓発」にとどめず「継続的・主体的な取り組み」として再定義することで、設問の問いに具体的に応答する構えを整えています。


社会課題と学校現場の接点を早い段階で整理しておくことは、以降の論理展開に説得力をもたせるうえで有効です。



2. 本論における探究活動の構成と児童の学びの焦点化


本論では、「地域の食品ロス削減」という具体的な課題を扱う探究活動を通じて、児童の思考と行動のプロセスを描いています。


問いの設定から調査、発信に至るまでの構造を段階的に整理し、児童の主体的な関わり方を学習過程の中心に置いています。


活動を通じて「スローガンとしてのSDGs」ではなく、「生活に根ざした視点での理解」に至る過程を位置づけることで、知識ではなく価値の内面化を目指す意図が明確になります。


児童の成長が抽象的に語られることなく、学習経験との因果関係の中で整理すると効果的です。



3. 結論における展望の整理と教育設計への接続


結論では、学習内容にとどまらず、「教科横断的な設計」「外部機関との連携」といった教育全体の構造に視野を広げ、将来的な教育実践の方向性が提示されています。


また、「社会に貢献できる実感」や「未来をつくる主体」といった語句を通じて、児童の学びを広義の市民性育成と接続しようとする構成にしています。


終末部において理念と実践が交差するよう構成することは、論旨を広げながらも論文全体を収束させる方法として有効です。




河野正夫



 
 
 

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