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小論文シリーズ22「多様性が尊重される学級」

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月27日
  • 読了時間: 3分

【小論文課題】


すべての児童生徒が個性が生かされ、多様性が尊重される学級にするためには、どのようなことが大切ですか。またそのためにどのような

取り組みをしますか。


(600文字以内)





【小論文】


 すべての児童生徒が個性を認め合い、多様性が尊重される学級を実現するには、児童の違いを「問題」として捉えるのではなく、「関係性のなかで活かす価値」として位置づける視点が必要である。個性は誰にでもあり、それが集団を豊かにするという認識を、学級の中で育むことが出発点となる。


 私はかつて、発話に特性を持つ児童がからかわれる場面に直面した。そこで、教室全体に向けて「人にはいろいろな得意・不得意がある」というテーマで話し合いの時間を設けた。さらに、その児童が得意とする工作活動を題材に取り上げる授業を行ったところ、周囲の児童が関心を持ち始めた。私はその機会を活かし、工作を通じてグループ活動を設計し、協力するなかで自然と交流が生まれるよう工夫した。加えて、「相手の得意なことを見つけて紹介する」場面を全員に設定し、児童一人ひとりが認められる経験を共有できるよう意識した。こうした取り組みにより、児童同士のまなざしが変化し、互いを尊重する雰囲気が学級に広がっていった。


 今後は、児童の興味や強みに基づいた活動を日常的に取り入れ、多様な背景や考えに触れ合う機会を意図的に設計したい。また、教員自身が多様性への理解を深め、誤解や偏見に敏感である姿勢を示し続けることも大切である。「ここにいていい」と児童が感じられる学級は、日々の積み重ねによってしか生まれない。そのような環境を丁寧に育てていきたい。



【執筆の観点】


1. 序論では、課題全体の問いを抽出し、焦点化された論点にしています


序論では、「すべての児童生徒」「個性」「多様性」「学級づくり」といった課題文のキーワードを受け取りながら、論点を「違いを問題ではなく価値として捉える視点の必要性」に焦点化しています。


このように、課題の表層的な言葉にとどまらず、背景にある教育的意味や教員の立場からの実践的な視点へと橋渡しすることが、説得力のある論述の導入となります。



2. 本論では、具体的事例の描写を軸に、実践の構造と変化のプロセスを明確に描いています


本論では、発話に特性のある児童をめぐる場面を起点に、教員の働きかけがどのように学級の意識変容につながっていったかを、段階的かつ丁寧に記述しています。


話し合いによる意識づけ、児童の得意を軸にした授業の展開、協同的な活動設計、「強みを見つける」全員参加型の取り組みへと発展していく構成により、指導と人間関係づくりが相互に影響し合う様子が浮かび上がります。


特定の児童だけでなく、学級全体が「多様性を認め合う関係」へと変容する過程が示されており、具体性と教育的意義を両立させています。



3. 結論では、今後の取り組みの方向性と教員としての倫理的態度を接続しています


結論では、児童の個性に応じた活動の継続的実施と、多様性への理解を深める教員の姿勢の両面を位置づけています。


ここでは、制度的提案よりも「日々の姿勢の積み重ね」が重視されており、学級文化の育成を時間的継続性の中で捉える視点を示しています。


さらに、「ここにいていい」という実感が、子どもの安心と参加を支える基盤であるという表現によって、学級経営の目標が倫理的・感情的な次元にまで及んでいることを明確にしています。


教育実践の最終的な目的と日常の指導の接続を示す構成にしました。




河野正夫



 
 
 

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