小論文シリーズ12 「インクルーシブ教育システム」
- 河野正夫
- 2025年6月16日
- 読了時間: 3分
【小論文課題】
インクルーシブ教育システムについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。
(600字以内)

【小論文】
インクルーシブ教育システムの実現には、すべての子どもが自分らしく学び、共に育ち合う学校文化を形成することが重要である。障害の有無にかかわらず、互いを認め合い、尊重し合う関係の中でこそ、児童生徒が安心して自己を発揮できる環境が生まれる。
私は中学校の現場で、発達障害のある生徒Aと接した経験がある。Bは集団活動が苦手で、他の生徒との距離感に戸惑いが見られた。私はまず、Aの特性を正確に理解するため、特別支援教育コーディネーターや養護教諭と密に連携し、観察と記録を丁寧に行った。そのうえで、Aが安心できる教室環境を整備し、活動の事前予告や視覚支援を導入することで、混乱の軽減を図った。
さらに、学級全体に「多様性の理解」を主題とした道徳の授業を実施し、一人ひとりが違いを尊重し合う意識を育んだ。その結果、Aは徐々に安心して教室で過ごすことができるようになり、周囲の生徒も自然と支え合う関係性が育っていった。日々の丁寧な積み重ねこそが、インクルーシブな集団を形成する基盤となる。
この経験から私は、インクルーシブ教育とは「特別な支援」ではなく、「誰もが共に学べるようにするための環境調整」であると確信した。今後も、教職員間の連携と児童生徒同士の関係づくりを大切にし、誰一人取り残さない教育を実現するための実践を積み重ねていきたい。
【執筆の観点】
本稿では、インクルーシブ教育の本質を「障害のある児童生徒への個別的対応」に限定せず、「すべての児童が共に学び合える環境を構築する」という包括的な視点から論を展開しました。
冒頭で制度の理念を簡潔に述べたうえで、講師経験を基にした具体的実践を挿入し、筆者の教育観と実践的資質を結びつけています。
具体的な指導例としては、発達障害のある生徒への配慮と学級全体への価値教育の併行的実施を描き、支援の個別性と全体性のバランスを意識しました。
また、「特別な支援」ではなく「環境調整」として捉える観点は、教育的合理的配慮やユニバーサルデザインの思想とも親和性が高く、現代的教育観を体現する意図で用いています。
結びでは、単なる経験の振り返りではなく、今後の実践的抱負を明示することで、教員としての成長意欲と専門的自覚を示しました。
教員採用試験においては、このように制度理解と現場経験を接続させながら、教育的意義を具体性と共に語ることが、説得力のある論述につながります。
文字数の制約の中で、理念・経験・意志を過不足なく配置する構成技術も重視するとよいでしょう。
河野正夫



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