大学生のための面接無料講座:第1回:面接試験の全体像と突破に必要な3つの力とは?
- 河野正夫
- 2025年6月6日
- 読了時間: 5分
第1回:面接試験の全体像と突破に必要な3つの力とは?
はじめに
「なんとなく」で臨んではならない理由
教員採用試験における「面接」は、単なる会話の延長線ではありません。
大学生活でのプレゼンテーションやアルバイトの面接とはまったく異なる、極めて構造的かつ評価指向型の試験です。
合否を左右する大きな要因でありながら、面接対策は多くの受験者にとって「直前に少し練習すれば何とかなる」という誤った先入観のもとに軽視されがちです
。しかし、実際には筆記試験で高得点を取っても、面接評価が、いわゆる「C」以下であれば合格に至らないという現実が各自治体で報告されています。
本連載の第1回では、教員採用試験における面接の全体像を明らかにするとともに、「突破するために必要な3つの力」について、教育学的・実践的観点から整理します。
面接に苦手意識をもつ大学生の皆さんにこそ、まずこの地図を手にしていただきたいと思います。

1.教員採用試験における面接の全体像
教員採用試験の面接には、大きく分けて次の4つの型が存在します。
(1)個人面接(単独面接)
1人の受験者に対して複数の面接官が質問を行う形式です。
志望動機や教育観、自己紹介などの基本的な質問に加え、エピソードを求められたり、矛盾点を追及されたりすることもあります。
(2)集団面接
複数の受験者を一組とし、同じ質問に順番に答える形式です。
他者の発言を聴いた上で自分の意見を述べる能力や、協調性、表現力が評価されます。
(3)場面指導・シミュレーション面接
「こんな場面で、あなたはどう対応しますか?」という実務的な質問に答える形式です。
不登校、保護者対応、授業崩壊など、具体的な教育現場を想定した質問が多く出題されます。
(4)集団討論
複数の受験者で1つのテーマについて討論を行い、協働的な思考力や他者への働きかけが評価されます。
現在では実施しない自治体も増えていますが、志望先の試験要綱は必ず確認が必要です。
面接は、「人物評価」として最も重視されるフェーズであり、学力以上に「現場で通用するか」「教職にふさわしいか」が問われます。
形式が異なっても、その本質は同じです。
2.突破に必要な3つの力
面接試験に合格するためには、「表面的な受け答えのスムーズさ」ではなく、次の3つの本質的な力が必要です。
① 論理構成力(構造的に語る力)
質問に対して、「問いに即した一貫性のある論理構造」で答える力が求められます。
思いついたことをその場で話すだけでは、評価は得られません。
たとえば、「あなたの教育観を教えてください」という問いに対しては、次のような構造が必要です。
主張
(私は、子どもの自己肯定感を育てる教育が重要だと考えます)
根拠
(なぜなら……という経験があるためです)
実践
(そのために私は……のように実践してきました)
意義(このような教育は、今後の社会においても……)
このように、主張・根拠・具体・意義という「流れのある語り」ができて初めて、評価される面接回答となります。
② 具体化力(抽象を現場に落とし込む力)
「子どもを大切にしたい」「信頼関係が大切だ」などの抽象的表現だけでは、面接官に響きません。
抽象概念を、具体的な行動・場面・経験に落とし込んで話す力が不可欠です。
たとえば、「信頼関係が大切だと思います」と言っただけでは不十分です。
それを「私は小学校でのボランティア経験の中で、泣いていた子に名前を呼びながら寄り添い続けたことで、翌日から笑顔で挨拶してくれるようになった」という具合に、具体的なエピソードで裏付ける必要があります。
この具体化力があることで、「教職に就いたときにこの人はどう動くのか」が明確に伝わります。
③ 教育的見識(教育現場と課題に対する理解)
現在の教育現場には、いじめ、不登校、ICT教育、インクルーシブ教育、学力格差、保護者対応など、さまざまな課題があります。
これらに対する基本的知識や、自分なりの見解を持っておくことは、面接での説得力に直結します。
「保護者からのクレームにどう対応しますか?」という質問に、「しっかり話を聞きます」だけでは評価されません。
「まずは、保護者の話を傾聴し、事実確認を丁寧に行った上で、保護者は子供を共に育むパートナーであるという意識を持ち、他の教員や管理職とも必要に応じて相談しながら、冷静に対応します」など、保護者の立場の理解やチーム学校の考え方の理解に裏打ちされた応答が必要です。
教育学的知識は、知っているだけでは評価されません。「どう語るか」「どう行動に落とし込むか」が問われるのです。
おわりに
「3つの力」を鍛えるための学習戦略
この3つの力は、一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、計画的な学習と実践によって、確実に向上します。具体的には、以下のような学習戦略が効果的です。
【論理構成力】
模範回答の構造分析/PREP・STAR法の活用
【具体化力】
過去の体験のエピソード化トレーニング
【教育的見識】
教育ニュースの要約・自分の意見を述べる練習
次回以降は、こうした各力のトレーニング方法や、頻出質問に対する具体的な戦略を1つずつ丁寧に解説していきます。
次回予告
第2回:大学1・2年から始める面接対策:未来の自分を設計する
面接対策は、4年生の夏からでは遅いのか?
未来の自分の価値を最大化するために、今すぐできる「逆算型キャリア設計」について詳しくお話しします。
河野正夫



コメント