【大学生のための面接合格術】第10回:同僚教員との連携
- 河野正夫
- 5 時間前
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【大学生のための面接合格術】(全20回連載)
第10回:同僚教員との連携
教員採用試験の面接において、
「同僚教員との連携をどう考えますか」
「学年の先生方とどう関係を築いていきますか」
「同僚と意見が異なったらどうしますか」
という質問は、極めて頻繁に問われます。
これらの質問の背景には、現代の学校で重視されている「チームとしての学校」という考え方に加え、教師という仕事の本質、すなわち「一人では成り立たない仕事である」という大原則があります。
今回は、大学生のみなさんが、同僚との連携に関する質問に的確に答えられるよう、考え方と語り方をお伝えしていきます。

1.教師の仕事は一人では成り立たない
最初に確認しておきたい大原則があります。
それは、志望校種や志望教科が何であれ、教師の仕事は一人では決して成り立たないということです。
「教師は教室の中で一人で授業をする職業だ」というイメージを持つ方が、大学生にはいらっしゃるかもしれません。
確かに、授業中の教室には、その学級を担当する教師が一人で立っています。
しかし、その授業に至るまでの
教材研究、
年間の指導計画、
評価の基準、
学級経営の方針、
行事の運営、
生徒指導の方針、
進路指導、
保護者対応、
こうしたすべての場面で、教師は必ず他の教員と関わり合いながら仕事を進めています。
学校現場には、次のような連携の場が日常的に存在します。
学年会、
教科会、
生徒指導部会、
教育課程部会、
校務分掌のチーム、
運営委員会、
職員会議、
校内研修、
ケース会議、
特別支援に関する校内委員会、
いじめ防止対策委員会、
不祥事防止のための研修
などです。
これらの場を通して、教師は同僚と情報を共有し、方針を一致させ、子どもへの関わりを揃えていきます。
担任であれば、
副担任、
教科担当、
養護教諭、
栄養教諭、
特別支援教育コーディネーター、
生徒指導主事、
教務主任、
学年主任、
管理職
など、
多くの教員と日常的に連携することになります。
副担任であれば、担任を支える役割として、
学年内の情報共有、
子どもの様子の伝達、
保護者対応の補助
などを
担います。
教科担当であれば、複数の学級を横断的に把握する立場から、担任に情報を伝える役割があります。
担任であっても、教科担当の教員から得られる情報は、子どもの多面的な理解に欠かせません。
「教師は一人で完結する仕事ではなく、組織の一員として子どもを支える仕事である」、この基本認識を、面接の場でしっかり示してください。
2.校務分掌という仕組みを理解しておく
大学生のみなさんがあまり馴染みのないかもしれない言葉に、「校務分掌」があります。
校務分掌とは、学校運営に必要な業務を、教員間で分担して担う仕組みのことです。
たとえば、
教務、
生徒指導、
進路指導、
特別活動、
研究、
安全管理、
保健、
人権教育、
特別支援教育、
ICT、
地域連携、
広報
など、
多くの分掌があります。
各教員は、担任や教科指導といった本来業務に加えて、複数の校務分掌を担当します。
新任教員として赴任した場合、校務分掌の仕組みや、その学校独自の組織のあり方を理解するには、ある程度の時間がかかります。
最初のうちは、それぞれの会議の意味、誰がどの役割を担っているか、どの情報をどこに上げるべきかが、すぐには見えないかもしれません。
このことを面接で問われた場合、
「校務分掌の仕組みを早く理解できるよう、先輩の先生方に教えていただきながら、自分が担当する分掌の役割を一つひとつ丁寧に学んでいきます」
という姿勢を示すと、現場の現実を踏まえた回答として評価されます。
3.連携で意識すべき三つの基本
同僚との連携について語る際、次の三つの基本を押さえてください。
基本①:報告・連絡・相談を徹底する
学校では、「報・連・相」が業務の基盤です。
子どもの気になる様子があれば学年主任に報告する、
保護者から問い合わせがあれば管理職に連絡する、
判断に迷う場面があれば先輩に相談する、
こうした日常的な情報共有が、組織として子どもを支える土台となります。
新任教員にとって、報告・連絡・相談は、自分を守ることでもあります。
一人で判断して動いた結果、後から問題が大きくなることを避けるためにも、小さな段階で必ず共有することが大切です。
基本②:謙虚に学ぶ姿勢を持ち続ける
新任教員は、現場の経験が圧倒的に少ない立場で赴任します。
学校の文化、その地域の子どもや保護者の特徴、長年積み重ねられてきた指導の知恵、こうしたものは、現場で先輩教員から学ばなければ身につきません。
「自分は大学で最新の教育理論を学んできた」という自負があっても、それを振りかざすのではなく、まずは現場の知恵に学ぶ姿勢を大切にしてください。
先輩教員一人ひとりが、長年の実践のなかで蓄えてきた知見を持っています。
その知見に敬意を払い、教えを請う姿勢が、若手教員にとって最も重要な資質となります。
基本③:多様な視点に学ぶ積極性を持つ
学校現場には、多様な経歴、多様な専門性、多様な教育観を持った教員が集まっています。
年齢層も、男性女性の比率も、出身校も、専門教科も、これまでの担当校種も、それぞれ異なります。
同じ子どもを見ていても、立場や経験によって、見え方は大きく異なります。
この多様性は、子どもを多面的に理解するうえでの貴重な資源です。
「自分とは異なる視点を持つ先生方から、積極的に学ばせていただきたい」
という姿勢を持つと、組織の中で成長していける土台となります。
4.「意見が異なったら」への答え方
面接で頻繁に問われる質問の一つに、
「同僚と意見が異なったらどうしますか」
「先輩の先生と考えが違ったらどう対応しますか」
というものがあります。
この質問への答え方には、明確な指針があります。
まず、避けるべき二つの極端な答え方を確認します。
避けるべき答え方の一つ目は、
「自分の意見を最後まで主張します」
「子どものためには、自分の考えを譲りません」
というものです。
これは、若手教員としての謙虚さを欠き、組織人としての適性を疑わせる回答です。
避けるべき答え方の二つ目は、
「自分の意見は引っ込めて、先輩の先生に従います」
「波風を立てないようにします」
というものです。
これは、主体性のなさと、子どもの最善の利益への姿勢の弱さを感じさせます。
望ましい答え方は、次の四段階で組み立てることができます。
第一段階:謙虚に学ぶ姿勢を最初に示す
「新任として赴任した立場では、まず先輩の先生方の考えに、その背景や根拠まで含めて、丁寧に耳を傾けることを大切にします」
第二段階:多様な視点への学びとして受け止める
「自分と異なる考えに出会うことは、自分の視野を広げる学びの機会だと考えています。同じ子どもを見ていても、経験や立場によって見え方が異なることは、組織として子どもを支えるうえでの資源となります」
第三段階:必要に応じて自分の考えも伝える
「そのうえで、自分が感じたことや、大学で学んできた知見から見えてくる視点があれば、謙虚に、教えを請う形で先輩に伝え、アドバイスをいただきたいと考えています」
第四段階:組織としての判断を尊重する
「最終的な判断は、学年や校務分掌、管理職の方針に従います。その過程で互いに学び合えることが、組織として子どもを支える力になると考えています」
この四段階を、簡潔にまとめて答えてください。
新任のうちから自説を強く展開する姿勢は、面接官にとって望ましいものではありません。
まずは現場で多くを学ぶ姿勢を示すことが、最も評価される回答となります。
5.連携を支える日常的な姿勢
連携は、特別な会議の場だけで成り立つものではありません。
日常的な姿勢の積み重ねが、連携の質を支えます。次のような点を意識してください。
★挨拶と感謝の言葉を欠かさない
朝の挨拶、退勤時の挨拶、ちょっとした助けを受けたときの感謝の言葉、こうした基本的なことが、職員室の人間関係の土台となります。
★自分から声をかける
新任のうちは、声をかけられるのを待つのではなく、自分から先輩に声をかける姿勢が大切です。
「ご相談したいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか」
と切り出すだけで、関係づくりの扉が開きます。
★他の先生の仕事をよく見る
職員室や教室で、先輩の先生方がどう動いているかをよく観察してください。
電話対応の仕方、
保護者への声のかけ方、
子どもへの叱り方とほめ方、
職員会議での発言の仕方、
こうした日常の姿のすべてが、教師としての学びの材料となります。
★自分の失敗を素直に認める
新任のうちは、必ず失敗をします。
失敗を隠そうとせず、素直に報告し、助言を仰ぐ姿勢が、信頼関係を築きます。
失敗を共有することは、組織として同じ失敗を繰り返さないためにも大切な行動です。
★雑用を厭わない
印刷、配付物の準備、教室の整備、行事の準備など、いわゆる雑用を進んで引き受ける姿勢は、若手教員に求められる基本的な態度です。
雑用を通して、学校の動き方が見えてきます。
6.1分で語るための構成
同僚との連携について1分で語る場合、伝えられる文字数は300字から320字です。次の構成で組み立ててください。
第一文で、教師の仕事は一人では成り立たないという基本認識を示します。
「学校現場では、教師は一人では仕事ができず、同僚との連携が不可欠だと考えています」
第二文から第三文で、連携の具体的な相手と場面を簡潔に示します。
「学年の先生方、教科担当、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、生徒指導主事など、多くの先生方と日常的に連携しながら、子どもを支えていきます」
第四文で、新任としての謙虚な姿勢を示します。
「特に新任のうちは、まず先輩の先生方から多くを学ぶ姿勢を大切にし、報告・連絡・相談を徹底していきます」
最後の一文で、決意を述べます。
「同僚との信頼関係を土台に、組織として子どもを支える教師を目指していきます」
意見の相違について問われた場合は、第4節でお伝えした四段階の構成で答えてください。
7.大学生らしく語るために
大学生のみなさんが連携について語るときの心構えをお伝えします。
大学生は、現場経験が限られているため、連携の重要性を語っても説得力が出にくいと感じるかもしれません。
しかし、大学生だからこそ語れる連携の姿勢があります。
それは、「これから学んでいく姿勢」を前面に出した連携観です。
「先輩の先生方から学ばせていただきながら」
「多様な先生方の知見に学ばせていただきながら」
「報告・連絡・相談を徹底しながら」
という、若手としての謙虚な姿勢が、面接官にとって最も安心できる回答となります。
逆に、大学生がときに陥る失敗があります。
それは、現場経験の少なさを補おうとして、知識や理論だけで議論する姿勢を示してしまうことです。
「○○理論に基づけば」
「文部科学省の答申では」
と語ること自体は構いませんが、それを現場の先生方に押しつけるような語り方になると、組織人としての適性を疑われます。
学んだ知識や理論は、現場の知恵と組み合わせて初めて生きてきます。
大学で学んできたことを土台としながら、現場の知恵を貪欲に吸収していく姿勢を、面接の場で示してください。
また、大学生活で経験してきた協働の場面、たとえば、
ゼミでのグループワーク、
サークル運営、
ボランティアでの分担、
アルバイトでの同僚との連携
など、
こうした経験を連携の根拠として語ると、語りに血が通います。
「ゼミでは、異なる専門の仲間と協働して研究を進めるなかで、自分一人では見えない視点が他者との対話から開かれることを実感してきました。この経験を、教師としての連携にも生かしていきたいと考えています」
というような語り方ができると効果的です。
教師は、一人では決して成り立たない仕事です。
新任のうちは、まず多くを学び、報告・連絡・相談を徹底し、信頼関係を築いていく、この基本姿勢が、若手教員に最も求められる態度となります。
みなさんが、組織の一員として子どもを支える教師として、面接の場に立てることを願っています。
次回は「児童生徒理解」について、合格をつかむための具体的なアドバイスをお届けします。
一緒に取り組んでいきましょう。
河野正夫


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