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【大学生のための面接合格術】第9回:教員の不祥事

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2 日前
  • 読了時間: 10分

【大学生のための面接合格術】(全20回連載)


第9回:教員の不祥事



教員採用試験の面接において、



「教員の不祥事についてどう考えますか」


「教員の不祥事を防止するためにあなたができることは何ですか」



という質問は、近年、特に問われる重要なテーマです。



教員による



児童生徒へのわいせつ行為、


体罰、


個人情報の漏洩、


横領、


交通事故・飲酒運転


など、



教員の不祥事は社会の厳しい目にさらされており、教育委員会も再発防止に力を入れています。


今回は、大学生のみなさんが、この難しい質問に的確に答えられるよう、考え方と語り方をお伝えしていきます。





1.まず最初に押さえるべき大原則



教員の不祥事を語るにあたって、最も重要な大原則を最初に示します。


それは、


「教員の不祥事は、面接官から直接尋ねられたとき以外は、自分から持ち出さない」


ということです。


たとえば、「最近の教育時事で関心のあることは何ですか」と聞かれたとき、教員の不祥事を選んで答える受験者がいます。


確かに、新聞報道は多く、社会的関心も高いテーマですので、選びたくなる気持ちは理解できます。


しかし、これは戦略として極めて危険です。



理由は二つあります。



第一の理由は、追加質問への対応が極めて難しいからです。


「ではなぜ不祥事が起こると思いますか」


「あなたならどう防ぎますか」


「なぜ近年増えているのですか」


と質問が深まっていくと、受験者は次第に追い詰められます。


不祥事の原因を浅く分析すれば短絡的だと評価され、深く分析しようとすれば、自分の手に余る議論に陥ります。



第二の理由は、自分から持ち出すと、いわば全国の同僚教員の過ちを批判する立場に立ってしまうことです。


教師は、これから自分が仲間として加わっていく集団です。


その集団を、まだ現場に出てもいない受験者が、自ら進んで批判的に語ることは、組織人としての適性を疑われる原因となります。



ですから、教員の不祥事は、面接官から直接尋ねられたときに限って、誠実に回答するテーマと位置づけてください。


教育時事として何を選ぶかは、第8回でお伝えした他の中心的課題から選ぶ方が、はるかに安全な選択となります。



2.面接官がこの質問で見ているもの



面接官から直接尋ねられた場合、何を答えるべきかを考える前に、面接官の意図を理解する必要があります。


次の三つの視点で評価されています。



第一に、教育公務員としての倫理観です。


教員は公務員であり、子どもの人格形成に直接関わる立場です。一般の職業以上に高い倫理観が求められることを、受験者が理解しているかどうかが見られています。



第二に、コンプライアンス意識です。


法令、服務規律、職務上の義務について、正しく理解しているかどうか。


地方公務員法、教育公務員特例法に定められた服務に関する基本を、受験者がどれだけ自覚しているかが評価されます。



第三に、自分自身を律する姿勢です。


不祥事の原因を外部に求めるのではなく、教員一人ひとりが日常的に自分を律することの大切さを理解しているかどうか。当事者意識を持って語れるかどうかが見られています。



つまり、この質問は、受験者が「教育公務員としての自覚を持っているか」を確認する場となります。



3.原因分析で避けたい三つの落とし穴



不祥事の原因を尋ねられた場合、受験者がよく陥る落とし穴があります。


事前に確認しておいてください。



落とし穴①:ストレスを主要因に挙げる



「教員の仕事はストレスフルだから、不祥事が起こるのではないでしょうか」という回答は、極めて危険です。


確かに教員の職務は重く、ストレスもありますが、ストレスを不祥事の主要因とすると、論理的に成り立たない主張になります。


なぜなら、ストレスを抱えているすべての教員が不祥事を起こすわけではないからです。


むしろ、大多数の教員はストレスを抱えながらも、職業倫理を守り、誠実に職務を遂行しています。


「ストレスが原因」と語ることは、結果として「ストレスを抱える教員は不祥事の予備軍である」という、全国の現職教員に対して失礼な含意を持ってしまいます。


さらに、「ではあなたはストレス耐性がありますか」という、答えにくい追加質問を呼び込みます。


ストレスへの対処は、教員の健康管理や働き方改革の文脈では重要な論点ですが、不祥事の原因論として中心に据えるのは避けてください。



落とし穴②:「風通しのよい職場」に逃げる



「風通しのよい職場をつくることが大切だと考えます」という回答もよく聞かれますが、これも単独では不十分です。


風通しのよい職場が大切であることは、誰もが同意することですので、それ自体に異論はありません。


しかし、「風通しのよい職場」が具体的に何を指すのか、それがどう不祥事防止につながるのかを明示しなければ、空疎な決まり文句にしかなりません。


「風通しのよい職場」に言及するのであれば、それが具体的に


「日頃から同僚と気軽に相談し合える関係」


「困ったときに一人で抱え込まずに声を上げられる関係」


「管理職に率直に意見を伝えられる関係」


など、何を指すのかを示してください。



落とし穴③:「教員同士のチェック」だけに頼る



「教員同士が互いにチェックし合うことが必要だ」という回答も、部分的には正しいですが、限界があります。


確かに、個人情報の取り扱い、不適切な指導、SNS利用などについては、組織的なチェック体制が一定の抑止力となります。


しかし、児童生徒へのわいせつ行為、性犯罪、飲酒運転、刑法犯に類する不祥事は、加害者が周囲に発覚しないように行うものであり、同僚のチェックだけでは防ぎきれません。


組織的な対策の意義を認めつつも、それだけに頼るのではなく、教員一人ひとりの内面的な倫理観の徹底こそが、根本的な防止策であることを示してください。



4.面接で挙げるべき三つの柱



面接で教員の不祥事の原因や防止策を語る場合、次の三つの柱を中心に据えてください。



柱①:教育公務員としての高い職業倫理



教員は、地方公務員であると同時に、教育公務員特例法のもと、一般の公務員よりも高い職業倫理が求められる立場にあります。


子どもの人格形成に直接関わる仕事である以上、その自覚を一人ひとりが持ち続けることが、不祥事防止の根本です。


「自分は子どもの未来を預かる立場である」という自覚を、日常のなかで失わないことが、すべての出発点となります。



柱②:高いコンプライアンス意識の徹底



法令遵守の意識を徹底することも欠かせません。


地方公務員法に定められた服務(信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務など)、刑法、児童福祉法、児童虐待防止法、わいせつ教員対策新法、個人情報保護法、道路交通法など、教員が遵守すべき法令は多岐にわたります。


法令の存在を「知っている」だけでなく、日常の判断のなかで意識的に適用できるかどうかが、コンプライアンス意識の本質となります。



柱③:子どもの模範となる言動の徹底



教員は、子どもにとって最も身近な大人の一人です。


日々の言動が、そのまま子どもにとっての規範となります。


「子どもに見られても恥ずかしくない言動を、職場でも私生活でも保つ」


という意識が、不祥事を遠ざける土台となります。


SNSでの発信、休日の過ごし方、人間関係のあり方など、私生活の場面においても、子どもの模範であり続ける覚悟が求められます。



この三つの柱を、自分の言葉で語れるよう準備しておいてください。



5.研修と過去事例から学ぶ姿勢



文部科学省や各教育委員会は、近年、不祥事防止のために、過去の事例をケーススタディとして用いた研修を重視しています。


実際に起きた不祥事を題材に、


「なぜそれが起こったのか」


「どの段階で踏みとどまることができたのか」


「自分が同じ立場だったらどう判断するか」


を考える研修です。


面接で不祥事防止策を語る際には、こうした研修の重要性に触れることも有効です。


「過去の事例から学ぶことを通して、自分自身の判断のあり方を常に見つめ直していきたい」という姿勢を示すと、学び続ける教員としての意欲が伝わります。


加えて、教育委員会が発行している「服務規律確保のための手引き」「不祥事防止リーフレット」などの資料に目を通しておくことも、受験者の備えとして有効です。


受験する自治体の教育委員会のウェブサイトで、こうした資料を確認できる場合があります。



6.語るときの基本構成



教員の不祥事について1分で語る場合、伝えられる文字数は300字から320字です。次の構成で組み立ててください。



第一の要素:


基本姿勢の提示



「教員の不祥事は、子どもと保護者の信頼を根底から損なうものであり、絶対に許されないと考えています」と、まず明確な姿勢を示します。



第二の要素:


原因についての考え方



不祥事の背景を、教員個人の倫理観と組織的な意識の両面から簡潔に述べます。


「教員一人ひとりの倫理観と、組織としての意識の両面から取り組む必要があると考えています」というように、複眼的な視点を示します。



第三の要素:


防止のための三つの柱



教育公務員としての職業倫理、コンプライアンス意識、子どもの模範となる言動、この三つを簡潔に挙げます。



第四の要素:


自分自身の姿勢



「私自身も、子どもの未来を預かる立場としての自覚を持ち続け、過去の事例から学びながら、自らを律していきます」と、自分の決意で締めくくります。


評論ではなく、自分自身の姿勢として語ることが、最も重要な点となります。



7.語るときに必ず守るべき三つのこと



教員の不祥事を語る際に、必ず守ってほしいことを三つ示します。



守るべきこと①:具体的な不祥事の事案を挙げない


報道された具体的な事件名、自治体名、加害者の属性などを、面接で口にしないでください。


「最近の○○県の事件のように」というような具体的な言及は、被害者のプライバシーへの配慮を欠き、また自治体への批判ともとられかねません。


「報道で大きく取り上げられているように」


「近年指摘されているように」


というような、一般化した表現にとどめてください。



守るべきこと②:現職教員全体を批判する語り方をしない



「教員の倫理観が低下している」


「最近の教員は質が落ちている」


というような、教員集団全体を批判する語り方は、絶対に避けてください。


これから自分が加わっていく集団を、外から批判する立場で語ることは、組織人としての適性を強く疑わせます。


不祥事を起こす一部の教員と、誠実に職務を遂行している大多数の教員は、明確に分けて考える視点を保ってください。


「大多数の教員は誠実に職務に当たっていますが、一部の不祥事によって、教育全体への信頼が揺らぐことは深刻な問題です」というような、バランスのとれた語りが望ましい姿となります。



守るべきこと③:自分のことは自分で律するという当事者性を保つ



不祥事の責任を、外部要因や他者に求める語り方は避けてください。


「忙しいから」


「ストレスがあるから」


「同僚の支えがないから」


という語り方は、結局のところ、不祥事を起こす側の言い訳に近いものとなります。


教員の仕事には、確かに困難が伴います。


しかし、どれほど困難な状況にあっても、子どもへの加害行為や違法行為は許されません。


この一線を、自分自身で引き続ける覚悟を、面接の場で示してください。



8.不祥事を語ることは、自分自身を律することである



最後にお伝えしたいのは、教員の不祥事について語ることは、これから教師となる自分自身を律することと、本質的に同じであるということです。


不祥事を起こす教員は、最初から不祥事を起こすつもりで現場に入ったわけではありません。


多くの場合、最初は子どものために尽くしたいという思いを持って教師になり、しかし日々のなかで判断を誤り、踏み越えてはならない一線を越えていきます。


だからこそ、これから教師となるみなさんに必要なのは、「自分は大丈夫」と思い込むことではなく、「誰でも踏み外す可能性がある」という謙虚な自覚を持ち続けることです。



子どもとの距離の取り方、


保護者との関係、


SNSの使い方、


休日の過ごし方、


お金の扱い方、


車の運転、



そのすべての場面で、自分を律する小さな判断を、毎日積み重ねていくことが求められます。


この自覚を、面接の場でも、現場に出てからも、生涯にわたって持ち続けてください。


教育公務員としての誇りと、自分を律する謙虚さ、その両方を併せ持つ教師として、面接の場に立てることを願っています。



次回は「同僚教員との連携」について、合格をつかむための具体的なアドバイスをお届けします。


一緒に取り組んでいきましょう。




河野正夫




 
 
 

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