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第29回:答えに詰まったとき・想定外の質問への対処法。【教採ブログ連載】

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
7月25日
読了時間: 8分

【教採ブログ連載】


第29回


答えに詰まったとき・想定外の質問への対処法





★想定外の質問は、必ず来る



教員採用試験の2次試験の面接において、どれほど丁寧に準備を重ねても、想定していなかった質問が来ることがあります。


「準備した質問以外は来ないはずだ」という前提で面接に臨むことは、危険な発想です。


面接官は、受験者が準備してきた回答を聞くだけでなく、準備の範囲を超えた場面での受験者の反応・思考・姿勢を見ようとしています。


想定外の質問や、答えに詰まる瞬間は、受験者の本質が現れる場面として、面接官は重視しています。


準備した回答を正確に再現できるかではなく、想定外の状況においても落ち着いて自分の考えを語れるかどうかが、面接で問われている力の一つです。


この記事では、答えに詰まったとき・想定外の質問が来たときの対処法を整理します。



★答えに詰まることは「失敗」ではない



まず理解しておくべきことは、答えに詰まること自体は、面接における致命的な失敗ではないという点です。


答えに詰まった瞬間の対処の仕方が、評価を左右します。


答えに詰まったとき、多くの受験者が陥るパターンがあります。


焦りから、考えがまとまらないまま言葉を出し続けようとするパターンです。


「えー、あのー、そうですね……」というフィラーワードが連発される状態になり、第18回で論じたとおり、準備不足と思考の混乱という印象を与えます。


焦りから、準備していた別の回答を無理やり当てはめようとするパターンです。


質問の内容と回答がずれた状態になり、面接官に「質問を理解していない」という印象を与えます。


答えに詰まったとき、最初にすべきことは、話すことをやめ、落ち着いて考えることです。


沈黙を恐れないという第18回の視点が、ここでも同様に機能します。



★対処法①——いったん立ち止まって考える



答えに詰まったとき、あるいは想定外の質問を受けたときの最初の対処は、いったん立ち止まって考えることです。


「少し考える時間をいただいてもよいですか」という一言を、落ち着いた声で面接官に伝えてください。


この一言を言うことを、恥ずかしいことだと感じる受験者がいます。


しかし、考えてから答えるという姿勢は、誠実さと思慮深さの表れとして面接官に受け取られます。


考える時間を断らずに長い沈黙が続くことよりも、「少し考えさせてください」と一言断ったうえで数秒間考えることのほうが、はるかに好印象を与えます。


考える時間は、数秒から10秒程度を目安にしてください。


その間に、質問の内容を正確に把握し直し、自分が持っている考えの中から答えられるものを探してください。


PREP法の骨格——結論・理由・具体例——を頭の中で素早く組み立てることが、この数秒間の作業です。



★対処法②——質問の意図を確認する



想定外の質問が来たとき、質問の意図が正確につかめない場合があります。


「この質問は何を聞こうとしているのか」がわからないまま答えを出そうとすると、的外れな回答になるリスクがあります。


質問の意図が正確につかめなかった場合は、「○○という観点からお答えすればよいでしょうか」という形で、質問の意図を確認することができます。


あるいは、「○○という理解でよろしいでしょうか」という形で、自分が理解した質問の内容を確認することも有効です。


質問の意図を確認することは、面接官に「この受験者は慎重に考えている」という印象を与えます。


的外れな回答を長々と述べるより、質問の意図を確認したうえで正確に答えるほうが、評価は高くなります。


ただし、確認の回数が多すぎると、理解力への不安を与えます。


一度だけ確認し、そのうえで回答に移ってください。



★対処法③——知らないことは正直に述べる



想定外の質問の中には、自分が知識を持っていないテーマについて問われる場合があります。


知らないことを知ったかぶりして答えることは、最も避けるべき対応です。


面接官がその内容に精通している場合、知ったかぶりの回答はさらなる深掘りで即座に破綻します。


知らないことを正直に述べたうえで、自分なりの考えを語ることが、誠実な対応です。



「その点については十分に把握できていませんが、○○という観点から考えると、○○ではないかと思います」



という形で、知識の不足を認めながらも、自分の教育観から考えを述べることができます。


知識の不足を正直に認める誠実さと、それでも自分の考えを語ろうとする姿勢が、面接官には肯定的に受け取られます。


知識がないテーマについても、教師としての視点から考えを述べることができるという姿勢が、回答として機能します。



★対処法④——骨子に戻る



答えの途中で言葉に詰まったとき、有効な対処は骨子に戻ることです。


「序論で何を言おうとしていたか」「本論の柱は何だったか」という骨子の確認に戻ることで、次に言うべき内容が見えてきます。


骨子を持たずに話し始めた場合、途中で詰まると戻る場所がありません。


第19回・第20回で論じたとおり、骨子を持って話すことが、答えに詰まったときの回復力を生み出します。


途中で詰まったとき、「先ほど申し上げた点に加えて」「整理しますと」という言葉で一度立ち止まり、骨子を確認し直すことも有効です。


この言葉によって、自然な間を作りながら、次に言うべき内容を確認する時間を作ることができます。



★対処法⑤——部分的に答えることを選ぶ



想定外の質問や難しい質問に対して、完全な回答を出せないと感じる場合があります。


そのとき、「完全に答えられないから何も言わない」という選択は、最も評価を下げる対応です。


部分的にでも答えられることを、誠実に述べることのほうが、評価としては高くなります。


「すべての観点から答えることは難しいですが、○○という点については、このように考えています」という形で、答えられる部分を明確に述べてください。


面接官は、完全な回答を求めているわけではありません。


難しい状況の中で、自分が持っている考えを誠実に語れるかどうかを見ています。


部分的な回答であっても、誠実さと思考の姿勢が伝わることで、評価につながります。



★想定外の質問への準備——「型」を持つことの意味



想定外の質問への対処において、最も根本的な準備は、第20回で論じた「型」を持っておくことです。


個別の質問への個別の回答を暗記する準備では、想定外の質問に対応できません。


語りの型(PREP法)と内容の型(教育の各テーマへの向き合い方)を身につけておくことで、初めて出会う質問に対しても、型に沿って自分の考えを組み立てて語ることができます。


「この質問は準備していなかった」という状況においても、「PREP法で組み立てれば答えられる」という確信が、焦りを抑える心理的な支えになります。


型を持つことは、想定外の質問への最も根本的な備えです。



★深掘り質問への対処



想定外の状況として、準備していた回答への深掘り質問が想定より深く続く場合があります。


「もっと具体的に教えてください」「その根拠はどこにありますか」「実際にそのような場面に遭遇したことはありますか」という形で、深掘りが重なることがあります。


深掘りへの対処の基本は、骨子を崩さずに詳細を加えることです。


最初に述べた結論を変えず、理由や具体例をさらに詳しく展開することで、深掘りに応じることができます。


深掘り質問が来ることを恐れる必要はありません。


面接官があなたの回答に関心を持ち、より深く知りたいと思っているサインとして受け取ってください。


深掘りされる回答は、面接官の関心を引いた回答です。


落ち着いて、骨子を起点として詳細を語ることを選んでください。



★本番での心構え——「詰まること」を前提にする



面接本番における心構えとして、「詰まることがあって当然だ」という前提を持つことをすすめます。


「絶対に詰まってはいけない」という心構えは、詰まった瞬間に過剰な焦りを生み出し、その後の回答をさらに乱します。


「詰まったとしても、対処法がある」という心構えは、詰まった瞬間の焦りを抑え、落ち着いた対処を可能にします。


この記事で整理した対処法——いったん立ち止まる、質問の意図を確認する、知らないことは正直に述べる、骨子に戻る、部分的に答える——を、事前に自分のものとして持っておくことで、詰まった瞬間に「次に何をすればよいか」がわかります。


詰まることへの備えを持つことが、詰まったときの回復力を生み出します。



★最後に——想定外の状況こそ、教師としての姿勢が現れる



面接における想定外の質問や答えに詰まる瞬間は、準備してきた回答を再現する場面ではありません。


その状況において、どのような姿勢で向き合い、どのように考え、どのように語るかという、受験者の本質が現れる場面です。


落ち着いて立ち止まる、誠実に向き合う、持っている考えを誠実に語る。


この姿勢は、学校現場で予測不能な出来事に対応する教師の姿勢と重なります。


想定外の状況への対処の仕方が、「この人は教師としての実践力を持っている」という評価につながります。


対処法を準備し、型を持ち、詰まることを前提にした心構えで本番に臨むこと。


それが、答えに詰まったとき・想定外の質問への対処における、最も確かな準備です。




河野正夫



 
 
 

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