第19回:「結論から話す」を身につける構成の型と練習法。【教採ブログ連載】
- 河野正夫
- 17 時間前
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【教採ブログ連載】
第19回
「結論から話す」を身につける構成の型と練習法

★なぜ「結論から話す」ことが求められるのか
教員採用試験の面接において、「結論から話してください」という指示を受けた受験者は少なくありません。
あるいは、指示はなくても、結論を最後まで引っ張る話し方をした結果、面接官に「この受験者は何を言いたいのかわからない」という印象を与えてしまった受験者もいます。
日本語の日常的なコミュニケーションは、背景や経緯を先に述べてから結論に至るという構造を取りやすい言語です。
しかし、面接という公的発話の場では、この構造は機能しません。
面接官は、複数の受験者の回答を短時間で評価します。
回答の冒頭で「この人は何を言おうとしているのか」が把握できない話し方は、それだけで評価を下げます。
結論を最初に述べることで、面接官は回答全体の方向性を冒頭で把握でき、その後の理由・具体例を、結論を補強するものとして正確に受け取ることができます。
「結論から話す」という構成は、面接だけでなく、授業・保護者対応・職員会議といった教師としての公的発話のすべてに共通して求められるスキルです。
★PREP法とは何か
「結論から話す」構成を実現するための、最も実践的な型がPREP法です。
PREPとは、Point・Reason・Example・Pointの頭文字を取ったものです。
Pointは、結論・主張です。
「私は○○と考えます」「○○が最も重要だと思います」という形で、最初に自分の立場を明確に示します。
Reasonは、理由です。
「なぜなら○○だからです」という形で、結論を支える理由を述べます。
Exampleは、具体例です。
「たとえば○○という場面では……」という形で、理由を裏付ける具体的な経験・事例・行動を示します。
最後のPointは、結論の再提示です。
「だからこそ、私は○○を大切にしたいと考えています」という形で、最初に述べた結論を改めて示し、回答を締めくくります。
PREP法の最大の利点は、構成がシンプルで覚えやすく、どのような質問にも応用できることです。
面接で問われるほぼすべての質問に対して、PREP法の構成で答えることができます。
★PREP法を面接に当てはめる
PREP法が面接でどのように機能するかを、具体的な質問と回答の例で確認してください。
「あなたが教師として最も大切にしたいことは何ですか」という質問に対して、PREP法で答えると以下のような構成になります。
Point(結論)
「私が最も大切にしたいことは、子どもの小さな変化に気づける観察眼を持つことです。」
Reason(理由)
「なぜなら、子どもが発するサインは、言葉ではなく表情や行動に現れることが多く、それを見逃さないことが、問題の早期発見と適切な関わりにつながると考えるからです。」
Example(具体例)
「たとえば、教育実習中に、いつもは元気な児童が朝から無表情でいることに気づき、声をかけたところ、家庭でのトラブルを打ち明けてくれたという経験がありました。その経験から、日常的な観察の積み重ねが子どもへの関わりの出発点になると学びました。」
Point(結論の再提示)
「だからこそ、毎日の短い会話や表情の確認を習慣にし、子どもの変化を見逃さない教師でいたいと考えています。」
この構成で答えることで、面接官は回答の最初の一文で方向性を把握し、理由・具体例・結論の再提示を、一貫した論旨として受け取ることができます。
★PREP法が機能する理由
PREP法が面接において有効に機能する理由は、聞き手の理解を助ける構造を持っているからです。
結論を最初に聞いた面接官は、「この受験者はこういう立場をとっている」という前提を持ったうえで、理由と具体例を聞くことができます。
結論を最後に述べる構成では、面接官は「この受験者は何を言おうとしているのか」を考えながら話を聞かなければなりません。
この違いが、回答の伝わりやすさに大きな差を生み出します。
また、PREP法は話し手にとっても、構成を整理しながら話すための骨格として機能します。
「今自分はPointを話している」「次はReasonに移る」「Exampleはこれを使う」という意識を持って話すことで、回答が途中で迷子になることを防ぎます。
第18回で論じたフィラーワードの問題も、PREP法で構成を明確にしておくことで、大幅に改善されます。
次に何を言うかが明確であれば、「言葉を探す間」が生まれにくくなるからです。
★PREP法の練習法①——書いて構成を確認する
PREP法を身につけるための最初の練習は、書いて構成を確認することです。
面接の頻出質問を一つ選び、PREP法の4つの要素
——Point・Reason・Example・Point——
を、それぞれ別の行に書き出してください。
書くことで、構成の抜けや論理のずれが見えやすくなります。
「Reasonがない」
「Exampleが抽象的すぎる」
「最後のPointが最初のPointと対応していない」
といった問題点が、書いた状態であれば修正できます。
頻出質問について、この書く練習を繰り返すことで、PREP法の構成が頭に入っていきます。
書く練習は、声に出す練習の前段階として位置づけてください。
構成が書けるようになってから、声に出す練習に移るという順序で進めてください。
★PREP法の練習法②——声に出して構成を確認する
書く練習で構成が定まったら、声に出して話す練習に移ってください。
声に出す際には、4つの要素の切れ目を意識しながら話すことが重要です。
「Point→Reason→Example→Point」という流れの中で、自分が今どの要素を話しているかを意識しながら練習してください。
最初のうちは、
「結論は○○です。
理由は○○です。
具体例として○○があります。
以上の理由から、○○が大切だと考えています」
という形で、各要素を明示的に言葉にしながら練習することも有効です。
慣れてきたら、要素の切れ目を明示する言葉を自然な接続表現に変えていきます。
「なぜなら」「たとえば」「だから」という接続表現が、PREP法の各要素をつなぐ言葉として機能します。
ただし、慣れていくうちに、これらの言葉を、もっと自然な表現や接続に変えることも可能になってきます。
スマートフォンで録音し、4つの要素がそろっているかを聞き直して確認してください。
録音を聞いて、構成が崩れている場面があれば、その部分の骨子を整理し直して再練習します。
★PREP法の練習法③——様々な質問で繰り返す
PREP法が身につくためには、一つの質問だけでなく、様々な質問に対してPREP法で答える練習を繰り返すことが必要です。
「なぜ教師を志望するのですか」
「どのような学級経営をしたいですか」
「いじめにどう対応しますか」
「自分の強みは何ですか」
といった異なるカテゴリーの質問に対して、それぞれPREP法で答える練習を積んでください。
質問の種類が変わっても、PREP法の構成は変わりません。
Point・Reason・Example・Pointという骨格は、どのような質問に対しても同じです。
様々な質問で繰り返し練習することで、「この質問にはこの構成で答える」という個別の準備ではなく、「どんな質問にもPREP法で答える」という汎用的な話し方のスキルとして身につきます。
この汎用性が、PREP法の最大の強みです。
想定外の質問が来ても、PREP法の構成さえ持っていれば、落ち着いて答えを組み立てることができます。
★PREP法の練習法④——他者の前で話す
一人での練習に加えて、他者の前でPREP法を使って話す練習を積んでください。
第18回で論じたとおり、一人での練習と他者の前での練習とでは、話し方の緊張度がまったく異なります。
他者の前に立つことで、公的発話特有の状況が再現され、より実践的な練習になります。
信頼できる人に面接官役を依頼し、質問を投げてもらいながらPREP法で答える練習を繰り返してください。
練習後に、
「Point・Reason・Example・Pointの構成が整っていたか」
「結論が最初に明確に述べられていたか」
「具体例は十分に具体的だったか」
というフィードバックをもらうことで、次の練習に向けた修正ができます。
他者からのフィードバックは、自分では気づかない構成の崩れや、具体性の不足を発見するための最も有効な手段です。
★PREP法と深掘りへの対応
PREP法で答えたあとに、面接官から深掘り質問が来ることがあります。
「その具体例についてもう少し詳しく教えてください」
「なぜそのように判断したのですか」
という形の深掘りです。
PREP法で答えた場合、深掘り質問への対応は比較的容易です。
深掘りの多くは、ExampleまたはReasonの部分に向けられます。
Exampleに対する深掘りには、その具体例をさらに詳しく語ることで対応します。
Reasonに対する深掘りには、理由の背景にある考えや経験をさらに詳しく語ることで対応します。
いずれの場合も、PREP法で答えた骨子を起点として、詳細を加える形で対応できます。
深掘りに対してもPREP法の骨子を崩さないことが、一貫した回答を維持するための鍵です。
★最後に——PREP法は、教師の言葉の基本形である
PREP法は、面接のためだけの話し方の型ではありません。
授業での説明・保護者への説明・職員会議での発言・生徒指導の場面での声かけ。
教師としての公的発話のあらゆる場面で、「結論から話す」という構成は機能します。
面接の準備を通じてPREP法を身につけることは、教師になってからの実践に直結するスキルの習得です。
書いて構成を確認し、声に出して練習し、他者の前で繰り返す。
この積み重ねが、PREP法を「知っている型」から「使える型」に変えます。
どのような質問が来ても、結論から話せる状態を作ることが、面接における話し方の準備の完成形です。
河野正夫


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