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第18回:フィラーワードを減らす——公的発話としての面接の話し方。【教採ブログ連載】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 12 分前
  • 読了時間: 7分

【教採ブログ連載】


第18回


フィラーワードを減らす——公的発話としての面接の話し方





★面接は「公的発話」の場である



教員採用試験の面接は、日常会話の延長ではありません。


面接は、教師としての資質と適性を評価される、公的発話の場です。


公的発話とは、特定の目的を持ち、評価される聴衆(聞き手)に向けて行われる、意図的に構成された話し方です。


授業・保護者説明会・職員会議での発言も、同じ意味で公的発話です。


公的発話の場において、話し手の印象を大きく損なうものの一つが、フィラーワードです。


フィラーワードとは、「えー」「あのー」「まあ」「そうですね」といった、内容を持たない言葉が無意識に発話される現象です。


面接の準備において、フィラーワードを意識的に減らすことは、回答の内容を磨くことと同じくらい重要な作業です。



★フィラーワードは公的発話で突出して現れる



フィラーワードについて、正確に理解しておくべき事実があります。


日本語母語話者の場合、日常会話の中ではフィラーワードはほぼゼロです。


ところが、面接・スピーチ・発表といった公的発話の場に立った瞬間、フィラーワードは突出して現れます。


1分間に数回から十数回、ひどい場合には20回以上出ることがあります。


フィラーワードは、公的発話という特殊な状況が引き起こす現象です。


面接でフィラーワードが多く出ると自覚している受験者は、その認識は正しいものです。


しかし、それは話し方の根本的な癖ではなく、公的発話への慣れのなさから生じているという点を理解しておいてください。


この理解が、対策の方向性を決めます。



★なぜ公的発話でフィラーワードが出るのか



公的発話の場でフィラーワードが突出して現れる理由を理解することが、対策の方向性を決めます。


公的発話では、話し手は「評価されている」という意識を持ちます。


評価されているという意識は、「正確に、うまく話さなければならない」というプレッシャーを生み出します。


このプレッシャーが、次に言うべき言葉を探す時間を生み出し、その空白を埋めるためにフィラーワードが発生します。


また、公的発話では、日常会話と異なり、ある程度まとまった内容を一定の時間話し続けることが求められます。


何を言うかの構成が頭の中で定まっていない状態で話し始めると、言葉を探しながら話すことになり、その「言葉を探す間」にフィラーワードが挿入されます。


フィラーワードを減らすための対策は、構成の明確化と公的発話への慣れという2点に集約されます。



★フィラーワードが与える印象



フィラーワードが多い話し方が面接官に与える印象を、正確に理解しておくことが必要です。


準備が不十分という印象を与えます。


「えー」「あのー」が頻繁に挟まる話し方は、何を言うかが定まっていない状態で話していることを示します。


自信がないという印象を与えます。


フィラーワードが多い話し方は、話し手が自分の言葉に確信を持っていないように聞こえます。


教師として子どもや保護者の前に立つ人物として、自信のない話し方は評価を下げます。


思考が整理されていないという印象を与えます。


「そうですね……えー……やっぱり……」という話し方は、構成が定まらないまま話していることを示します。


これらの印象は、回答の内容がどれほど優れていても、フィラーワードによって打ち消される可能性があります。


内容と話し方は、切り離せないものです。



★対策①——骨子を明確にする



フィラーワードを減らすための最初の対策は、回答の骨子を明確にすることです。


フィラーワードは、次に言うべき言葉が定まっていない瞬間に発生します。


逆に言えば、次に言うべき言葉が明確に定まっている状態では、フィラーワードが出る余地がありません。


回答の骨子とは、「最初に何を言い」「次に何を言い」「最後に何を言うか」という話の流れを、あらかじめ明確に決めておくことです。


第16回で論じた「結論・理由・具体例」という構成を、面接の各質問について準備しておくことが、骨子を明確にする作業です。


骨子が明確であれば、話しながら「次に何を言おうか」と迷う瞬間がなくなります。


フィラーワードが出るのは、この「迷う瞬間」です。


骨子の明確化は、フィラーワードを減らすための根本的な対策です。



★対策②——「沈黙」を恐れない



フィラーワードが出る場面の多くは、質問を受けてから答えるまでの間、または回答の途中で次の言葉を探しているときです。


この「間」を埋めようとして、フィラーワードが発生します。


しかし、面接において、わずかな沈黙は決してマイナスではありません。


質問を受けてから数秒間、落ち着いて考えてから答えることは、誠実さと思慮深さの表れとして受け取られます。


フィラーワードで間を埋めようとするよりも、沈黙を保ちながら次の言葉を準備するほうが、はるかに好印象を与えます。


「えー」と言いながら考えるのではなく、黙って考えてから話し始めることを、意識的に選んでください。


沈黙を恐れないという意識を持つだけで、フィラーワードは大きく減ります。



★対策③——録音して聞き直す



自分がどの程度フィラーワードを使っているかを、正確に把握することが対策の前提です。


話している最中は、フィラーワードを発していることに気づかないことがほとんどです。


スマートフォンで自分の練習を録音し、聞き直してください。


録音を聞き直すと、自分がどの場面でフィラーワードを使っているかが明確に見えてきます。


「えー」が出やすい場面、「あのー」が挟まりやすい場面が特定できたら、その場面の骨子を整理し直してください。


フィラーワードが出やすい場面は、骨子が定まっていない箇所であることがほとんどです。


録音→聞き直し→骨子の修正→再録音というサイクルを繰り返すことが、フィラーワードを減らすための最も実践的な方法です。



★対策④——公的発話の場に慣れる



フィラーワードが公的発話の場で突出して現れる原因の一つは、公的発話の場への慣れのなさです。


慣れることが、フィラーワードを減らす根本的な解決策の一つです。


一人で行う練習だけでなく、他者の前で話す機会を意識的に増やしてください。


信頼できる人に面接官役を依頼して模擬面接を行うことが、最も効果的な方法です。


一人での練習と、他者の前での練習とでは、フィラーワードの出方が異なります。


他者の前に立った瞬間に、公的発話特有の緊張とプレッシャーが生まれ、フィラーワードが出やすい状況が再現されます。


その状況の中で繰り返し話すことで、公的発話の場への慣れが積み上がっていきます。


模擬面接を録音し、フィラーワードの回数を数えることも有効です。


回数として把握することで、改善の度合いを客観的に確認することができます。



★目指すべき基準——フィラーワードをゼロにする



フィラーワードへの対策において、目指すべき基準は「減らす」ことではなく「ゼロにする」ことです。


「多少は仕方ない」という発想を持つと、意識の緩みが生じます。


面接という公的発話の場において、フィラーワードをゼロにすることを目標として設定してください。


ゼロという基準を持つことで、練習への向き合い方が変わります。


「今日の練習では何回出たか」を数え、回数を減らしていくという具体的な目標として取り組むことができます。


ゼロを目指すからこそ、骨子の明確化・沈黙への慣れ・録音による確認・他者の前での練習という対策が、真剣に実行されます。



★最後に——話し方は、教師としての資質を示す



面接での話し方は、回答の内容と同様に、教師としての資質を示すものです。


フィラーワードのない、構成の整った話し方は、授業・保護者対応・職員会議といった、教師としての公的発話の場でも求められるものです。


面接のための話し方の改善は、教師になってからの実践に直結します。


骨子を明確にし、沈黙を恐れず、録音で確認し、他者の前で繰り返し練習する。


この積み重ねが、フィラーワードをゼロに近づけ、公的発話の場で自信を持って語れる話し方を作ります。




河野正夫



 
 
 

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