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【大学生のための面接合格術】第18回:ICT活用

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 10 時間前
  • 読了時間: 9分

【大学生のための面接合格術】


第18回:ICT活用



教員採用試験の面接において、



「ICTをどのように活用したいですか」


「一人一台端末を授業でどう生かしますか」



という質問は、現代の学校教育の重要なテーマとして頻繁に問われます。


GIGAスクール構想によって、全国の小・中・高等学校で一人一台端末の環境が整い、現在は「どう使うか」という活用の質が問われる段階に入っています。


今回は、大学生のみなさんが、ICT活用に関する質問に的確に答えられるよう、押さえておくべき知識と、考え方、語り方をお伝えしていきます。





1.GIGAスクール構想とその現在地



まず、ICT活用を語る前提として、GIGAスクール構想の流れを確認します。


GIGAスクール構想は、令和元年(2019年)に文部科学省が打ち出した政策で、児童生徒一人に一台の学習用端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することを目指したものです。


当初は数年かけて整備する計画でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、整備が前倒しされ、義務教育段階での一人一台端末環境は、ほぼ全国で整いました。


そして現在は、「NEXT GIGA」と呼ばれる第二期に入っています。


第一期で配備された端末が更新の時期を迎えていること、自治体や学校による活用状況の格差、通信ネットワーク環境の課題、教員のICT活用指導力の向上といった、第一期で浮き彫りになった課題の解決が、第二期の主な目的となっています。



ここで重要なのは、整備の段階は終わり、現在は「活用の質」を高める段階にあるという認識です。


「端末を導入したい」ではなく、「導入された端末を、どう子どもの学びに生かすか」が、これからの教員に問われています。


面接でこの認識を示せると、現状を正しく理解していることが伝わります。



2.ICTは「目的」ではなく「手段」である



ICT活用を語るうえで、最も重要な大原則があります。


それは、「ICTは、それ自体が目的ではなく、子どもの学びの質を高めるための手段である」ということです。


ICTを使うこと自体を目的にしてしまうと、「端末を使うことが立派な授業だ」という誤った発想に陥ります。


大切なのは、ICTを使うかどうかではなく、ICTを使うことで、子どもの学びがどう深まるか、どのような力が育つかです。


手書きやノート、対話、体験など、従来の方法のほうが効果的な場面では、無理にICTを使う必要はありません。


文部科学省も、ICTを「特別なものとしてではなく、文房具のように日常的に活用する」という方向性を示しています。


ICTを、鉛筆やノートと同じように、必要な場面で自然に使う道具として位置づける発想が、現代のICT活用の基本となります。


面接では、


「ICTは、それ自体が目的ではなく、子どもの学びの質を高めるための手段だと考えています」


という基本姿勢を、最初に示してください。


この一言があるだけで、本質を理解している人物だと伝わります。



3.ICT活用の具体的な姿



ICTを、実際にどう活用するのか、具体的な姿を整理します。



★個別最適な学びを支える活用


一人一台端末を活用することで、一人ひとりの学習進度や理解度に応じた学びを支えられます。


デジタルドリルによる個別の習熟、学習履歴(スタディ・ログ)の蓄積と活用、つまずきに応じた個別の課題提示などが可能となります。



★協働的な学びを支える活用


子どもたちが、端末上で互いの考えを共有し、対話しながら学びを深める活用です。


クラウド上のツールを使って、全員の考えを一覧で共有する、グループで一つの資料を共同編集する、互いの作品にコメントを送り合う、こうした活用が、協働的な学びを豊かにします。



★表現する力を育てる活用


子どもが自分の考えや学びを、文章、図、写真、動画、プレゼンテーションなど、多様な形で表現する活用です。


話すことが苦手な子どもも、文字や図で考えを表現できるなど、多様な子どもの表現の機会を保障できます。



★情報を収集・整理・分析する活用


子どもが自ら情報を集め、整理し、分析する活用です。


探究的な学習において、子どもが必要な情報を調べ、考えをまとめていく過程を支えます。



★遠隔・オンラインでの活用


不登校の子ども、病気療養中の子ども、災害時など、教室に来られない子どもへの学びの保障に、ICTが活用されます。端末の持ち帰りによる家庭学習との連携も進んでいます。



これらの活用は、第4回や第8回でお伝えした「主体的・対話的で深い学び」「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」と密接に結びついています。


ICT活用を、これらの現代教育のキーワードと関連づけて語ると、深みが出ます。



4.情報モラル教育とデジタル・シティズンシップ



ICT活用を語るうえで、もう一つ欠かせない視点が、情報モラル教育です。


子どもたちは、端末を使う中で、



インターネット上のトラブル、


SNSでのいじめ、


個人情報の流出、


著作権の問題、


ネット依存、


有害情報との接触


など、



さまざまなリスクに直面します。


ICTを活用する力と同時に、ICTを安全に、適切に、責任を持って使う力を育てることが、現代の教育に求められています。


近年は、「情報モラル教育」に加えて、「デジタル・シティズンシップ教育」という考え方も広がっています。


これは、危険だから使わせないという禁止中心の発想ではなく、子どもがデジタル社会の善き使い手・善き市民として、自律的に判断し行動できる力を育てるという、より積極的な考え方です。



面接でICT活用を語る際、


「ICTを活用する力とともに、情報モラルや、デジタル社会の善き使い手としての力を育てることも大切にします」


と触れられると、ICT活用を多面的に捉えていることが伝わります。



5.生成AIと教育



近年、特に注目されているのが、生成AIの教育における扱いです。


文部科学省は、初等中等教育段階における生成AIの利用について、ガイドラインを示しています。



基本的な方向性は、生成AIを一律に禁止するのではなく、その特性とリスクを理解したうえで、適切に活用する力を育てるというものです。


同時に、子どもの思考力や創造性を損なわない使い方、情報の真偽を確かめる姿勢、著作権やプライバシーへの配慮など、慎重に扱うべき点も示されています。



生成AIは、教員自身の業務効率化の手段としても注目されています。


教材作成、文書作成などに活用することで、教員が子どもと向き合う時間を生み出すことが期待されています。



面接で生成AIについて問われた場合、


「生成AIは、一律に禁止するのではなく、その特性とリスクを理解したうえで、適切に活用する力を育てる方向性が示されています。同時に、子どもの思考力を損なわない使い方への配慮も必要だと考えています」


という形で、バランスのとれた認識を示してください。


新しい話題であり、断定的に語るよりも、慎重で多面的な姿勢を示す方が望ましい形となります。



6.語るときに避けたい誤り



ICT活用について語る際、避けるべき誤りを整理します。



誤り①:ICTを使うこと自体を目的にする


「とにかくICTをたくさん使った授業をします」という発想は、本質を外しています。


ICTは手段であり、子どもの学びの質を高めることが目的だという原則を、見失わないでください。



誤り②:ICTを万能視する


「ICTを使えば、すべての教育課題が解決する」というような、過度な期待を語ることも避けてください。


ICTには得意なことと不得意なことがあります。


対面での関わり、体験、手作業など、ICT以外の方法が効果的な場面も多くあります。


ICTと従来の方法を、目的に応じて使い分ける視点が必要です。



誤り③:リスクや格差への配慮を欠く


ICT活用の利点だけを語り、情報モラル、ネット依存、健康面への配慮、家庭環境による格差などのリスクに触れないのは、一面的です。


光と影の両面を捉える視点を持ってください。



誤り④:自分のスキルだけを強調する


「私はICTが得意なので、活用できます」というように、自分のスキルだけを強調する語りは、的を外しています。


問われているのは、自分が使えるかではなく、子どもの学びをどう深めるかです。



誤り⑤:現場の実態を無視した理想論


「毎時間すべての教科で端末をフル活用します」というような、現場の実態を無視した理想論は、かえって現場を知らない印象を与えます。


学校や自治体によって環境や活用状況は異なります。現実的な活用の姿を語ってください。



7.1分で語るための構成



ICT活用について1分で語る場合、伝えられる文字数は300字から320字となります。次の構成で組み立ててください。



第一文で、ICTを手段として捉える基本姿勢を示します。


「ICTは、それ自体が目的ではなく、子どもの学びの質を高めるための手段だと考えています」



第二文から第三文で、具体的な活用の姿を示します。


「一人一台端末を活用し、一人ひとりの進度に応じた個別最適な学びと、互いの考えを共有し合う協働的な学びを、一体的に充実させていきたいと考えています」



第四文で、情報モラルの視点に触れます。


「同時に、ICTを安全に適切に使う情報モラルや、デジタル社会の善き使い手としての力を育てることも大切にします」



最後の一文で、決意を示します。


「ICTを子どもの学びに生かせる教師を目指していきます」



この構成であれば、基本姿勢、活用の姿、情報モラル、決意という流れが自然に成立し、面接官にICT活用の本質を理解している人物だと伝わります。



8.大学生らしく語るために



大学生のみなさんがICT活用について語るときの心構えをお伝えします。



大学生の世代は、デジタル機器に慣れ親しんで育ってきた世代です。


これは、ICT活用において大きな強みとなります。


「私自身、デジタル機器に慣れ親しんできた世代として、ICTを子どもの学びに自然に取り入れていきたい」


という語り方は、若い受験者ならではの強みを示せます。



ただし、注意すべき点があります。


日常的にスマートフォンやアプリを使えることと、教育の場でICTを効果的に活用できることは、別の能力です。


プライベートでの利用に慣れていることを、そのまま教育的な活用力と混同しないようにしてください。


教育におけるICT活用は、子どもの学びを深めるという明確な目的のもとで、計画的に行われるものです。



大学では、ICT活用に関する科目や、情報教育に関する学びがあります。


学んできた知識を土台にして、ICT活用の枠組みを語れるように準備してください。


また、教育実習で、実際に端末を使った授業を見たり、行ったりした経験があれば、その気づきを語りに織り込むと、説得力が増します。



大学生が陥りやすい姿勢として、ICTへの慣れから、「自分は使えるから大丈夫」という、技術偏重の発想に傾くことがあります。


しかし、ICT活用で最も大切なのは、技術ではなく、「子どもの学びをどう深めるか」という教育的な視点です。


技術はあくまで手段であり、目的は子どもの学びだという原則を、常に意識してください。



また、新任のうちは、その学校や自治体のICT環境、活用のルール、これまでの実践の蓄積を理解することから始まります。


「先輩の先生方や、ICT支援員の方々に学びながら、その学校の環境に応じたICT活用を進めていきたい」


という姿勢を、面接の場でも示してください。



ICT活用は、これからの教育を支える重要な柱の一つです。


技術に振り回されるのではなく、子どもの学びを深めるという目的を見据えて、ICTを賢く使いこなす、この姿勢が、現代の教師に求められます。


みなさんが、ICTを子どもの学びに生かせる教師として、面接の場に立てることを願っています。



次回は「危機管理」について、合格をつかむための具体的なアドバイスをお届けします。


一緒に取り組んでいきましょう。




河野正夫




 
 
 

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